「特色ある学校づくり」プロジェクト研究の内容


 T 研究の概要

 U 夏季特別フォーラム「特色ある学校づくり」基調提案内容

 V 「特色ある学校づくり」Q&A


   岐阜県総合教育センター


T 研究の概要


1 研究主題

 特色ある学校づくりをするための、創意工夫ある教育課程の在り方


2 主題設定の理由

 新しい学習指導要領の総則には、「学校の教育活動を進めるにあたっては、各学校において、児童(生徒)に生きる力をはぐくむことを目指し、創意工夫を生かし特色ある教育活動を展開する中で、(中略)個性を生かす教育の充実に努めなければならない」(「教育課程編成の一般方針」より)と記されている。学校の教育活動は、教育課程に基づいて進められるものである。そこで、特色ある学校づくりのためには、まず教育課程の編成において各学校の児童生徒の実態に応じた創意工夫を凝らすことが肝要であると考え、この主題を設定した。


3 研究の内容

 具体的な研究内容としては、まず県内各学校の実態調査から始める。各学校の教育目標と教育課程の関わり、特色ある教育活動の実施状況、特色ある教育実現のための教育課程編成における問題点等について調べたい。
 もう一つの具体的な研究内容は、各学校が特色ある教育活動を展開するための、教育課程に関する創意工夫の在り方の研究である。県内及び全国の学校の様々な特色ある教育活動が実践されている。そのもととなる教育課程編成の創意工夫の在り方について研究していきたい。
 例えば、今回の学習指導要領の改訂によって、「総合的な学習の時間」の全体の教育課程の中における位置づけ方、週時程の工夫の仕方、選択教科の設定の仕方、さらに高等学校では「学校設定教科・科目」の設定の仕方、学校間連携の図り方等教育課程において工夫を凝らすべき点がいくつかあげられた。「特色ある学校づくり」のプロジェクトチームでは、それらの点について研究を深め、小・中・高等学校が特色ある学校づくりをするために教育課程を編成していくとき、発想をより豊かにできるようなアイデアを提示していきたいと考えている。


4 研究計画

 平成12年度
  @ 特色ある学校づくりをするための教育課程の在り方についての実態調査
  A 県内を中心とした創意工夫ある教育課程の調査研究
  B 12年度の研究結果の情報提供及び中間発表(夏季特別フォーラム)の在り方についての検討


 平成13年度
  @ 特色ある学校づくりをするための教育課程の在り方の実践交流と研究(研究協力校と共に)
  A 特色ある学校づくりをするための教育課程の在り方の研究成果中間発表(夏季特別フォーラム)
  B 研究協力校の実践及び13年度の研究結果のまとめの作成



 平成14年度
  @ 特色ある学校づくりの評価の在り方についての研究
  A 様々な創意工夫ある教育課程の在り方についての研究
  B 「特色ある学校づくり」についての14年度の研究成果のまとめ



5 平成13年度の研究活動の内容

 平成12年度に「特色ある学校づくり」の観点から県内の小・中・高等学校を調査し、それによって見いだした実践校を研究協力校として位置付けた。そして、平成13年度、岐阜大学の北俊夫教授を専任講師として位置づけ、講演や質疑応答を通じて、これらの学校と共に「特色ある学校づくり」の在り方について考えを深めた。(研究協力校は参考資料にある小・中・高4校ずつ、計12校。研究協力員会等は年4回実施) 
 7月には、県内の小・中・高等学校が「特色ある学校づくり」について認識を深める機会として「夏季特別フォーラム」を実施した。概要は下記の通りである。年度末には、夏季特別フォーラムの内容を中心に研究成果を冊子にまとめ、フォーラムに参加しなかった学校が「特色ある学校づくり」をする場合の参考に供する予定である。






◎夏季特別フォーラムの概要


 (1) 実施期日・場所   13年7月30日・ふれあい会館 

 (2) 参加者 小学校教諭   143人、 中学校教諭     33人、
          高等学校教諭   22人、特殊教育諸学校教諭 1人、
          教育委員会関係者 3人           計 202人

 (3) 内 容
  @ 12年度から学校支援課・研修管理課の「特色ある学校づくり」プロジェクトの
   メンバーが研究してきたことをもとに基調提案をまとめ、発表することによって、
   各学校の先生に「特色ある学校づくり」の基本的視点を知らせた。
  A 研究協力校12校が校種別に実践発表・質疑応答を行い、「特色ある学校づくり」
   の先進的事例を示した。
  B 岐阜大学教授北俊夫氏、名古屋大学教授安彦忠彦氏を講師としてシンポジウム
   を行い、「特色ある学校づくり」「総合的な学習の時間」「教科の基礎・基本」等に
   ついて小・中・高の先生の認識を深めた。


 (4) 成果
   基調講演で基本的な方針を押さえ、実践発表で具体例を知る、そして、シンポ
  ジウムで理論的な面を深める、という構成については、「充実して、よいと思う。」
  「具体的な実践もあり、理論的な話もあり、大変勉強になった。」という感想を
  多くいただいた。基調提案・実践発表・シンポジウムそれぞれの内容についても
  好評を多くいただいた。




〔参考資料〕研究協力校と、夏季特別フォーラムにおける各学校の実践発表の概要

 1 下羽栗小学校

  「自ら学び豊かに表現できる子」の育成を目指し、国語科・音楽科で表現力を高める授業を展開するとともに、児童が学級の成果を発表する場として「かがやき集会」を位置づけている。また、表現力を支える基礎・基本として「ふしづくり」「言葉あそび」の実践をしている。

 2 関ヶ原北小学校

  「自らみつけ考え実践できる子」の育成を目指し、6年間を見通した総合的な学習の時間(=まなびの時間)をすでに位置付け実践している。また、基礎・基本定着のために、週1回ずつ朝15分間の国・算の学習を一人一人のつまづきに応じて実施し、習熟を図っている。

 3 美濃小学校

  「人権感覚のある子ども」の育成を目指し、教科の授業を中心に主体的に課題を解決していく「確かな自分づくり」や、友達同士で学び合う「支え合う仲間づくり」を進めている。そして、児童一人一人のよさに着目した授業改善を図っている。

 4 下原小学校

 「自他を理解し、尊重し、違うものも受け入れ、だれとでも仲良くしようとする心と態度」の育成を目指し、「ふるさと学習(=三峯活動)」「英語活動」「海外との交流活動」を行うとともに、挨拶運動などを通して人間尊重の気風づくりを進めている。

 5 真正中学校 

  「活動に主体的に取り組み、地域の方と協力して活動できる生徒」の育成を目指し、地域の教育力を生かした取組を進めている。具体的には、生徒を主役とする地域活動、伝統芸能等を生かした総合的な学習の時間、地域の職場体験学習等を進めている。

 6 神戸中学校

  生徒指導上の問題を多く抱えた状態から脱するため、教育目標を「個性を生かして社会に貢献する人間」とした。具体的には、行事への取組を充実させて学級づくりを進めたり、生徒会活動・ボランティア活動を活発化させたりして、改善に努めた。

 7 (美濃加茂市立)西中学校

  学校の教育目標「努力一輪」を具現する三本柱の一つ「善意に生きる」を具体化するため、一人1ボランティア活動、年2回の全校でのさわやか活動を実施している。中学生に善意の心や豊かな人間関係を身に付けさせたいと考え始まった。

 8 稲津中学校

  知・徳・体の調和のとれた生徒の育成を目指し、「生きて働く学力づくり」「豊かな心づくり」「健康な体づくり」を三本柱とした教育を推進している。中学校が核となり、保育園から中学校までが家庭・地域と連携して進めているのが特徴である。

 9 岐陽高等学校

  中学校までの学習内容を理解できず自信・意欲を喪失している生徒たちに、自信をもたせ、学力を付けさせることを目指している。基礎・基本の定着を目指した学習指導と、生徒指導を生かした学習指導をねばり強く実践し、学校に対する評価を高めた。

 10 岐阜農林高等学校

  「生徒のニーズに応える教育課程の編成と効果的指導」「自己教育力の育成」「生徒が主体的に取り組める学習環境づくり」を目指し、様々な活躍・挑戦の場を設定したり総合選択制を採用したりして、充実感を感じて学習に取り組む生徒を育てている。

 11 揖斐高等学校

  多様な生徒たちに対して、「実生活を取り巻く諸問題を解決していける総合知」を育成するため、12年度から生活環境科が総合的な学習の時間を実施している。生徒たちは自分なりの課題を見つけ、学び、成長している。

 12 恵那高等学校

 「自ら生き生き学ぶ生徒」「主体的に進路目標を定め、実現を図る生徒」の育成を目指して早くから「総合学習」を実施してきた。1年ではグループでのテーマ学習、2・3年ではそれぞれ「沖縄」、「生き方・我が道」をテーマにした学習を実施している。


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