jissen13

7.実施した授業の概要(13)


第6学年 国語科 自然を見つめて 「ガラパゴスの自然と生物」「人類はほろびるか」

1 指導の立場
(1) 単元について
 ガラパゴス諸島には、その独自の自然環境によって貴重な動物や植物が生きている。わたしたちは、その動植物の姿や生き方から自然環境と生物とのかかわりを知り、学ぶことができる。
 このような生物と自然環境とのかかわりは、わたしたち人類にとっても無縁なことではない。人類は、すでに滅亡への道を歩んでいるのかもしれない。また、キョウリュウのように、いずれ絶滅していまうかもしれない。
 本単元の二つの教材は、このような自然環境と生物との関係を考えさせ、わたしたち自身が大きな地球という環境の中に生きる一生物であるという謙虚な自覚をもたなければならないことを教えている。
 そこで、単元の終末部の授業としてパネルディスカッションを行い、環境問題について児童に深く考えさせたい。

(2) 児童の実態
 6年生は、男子2名女子2名の計4名である。授業では、課題に対してまじめに取り組み、教科係を中心にして話し合い活動が少しずつできるようになってきた。
 国語の授業では、言葉に着目して読みを進めていくことや前後の文を関連付けて読んでいくことができるようになりつつある。ただ、自分の読みと仲間の読みを関連付けて読みを深めていくまでにいたっていない。
表現力の育成に関わった実態は、自分が主張したいことについて写真等の資料を集め自信をもって話すことができるようになってきた。しかし、事前に準備ができ、自信をもって話せる内容についてはよいが、急に質問されたり意見を求められると答えに窮する場面がしばしば見られた。
 そこで、本時では事前に話し合いの根拠となる資料を交流し、反論等を考えさせ、その場で受け答えができるように指導していきたい。

2 研究主題との関わり
 本校では、平成7、8、9年度文部省の指定を受け、マルチメディア機器を活用した授業の研究を進めている。この研究では、へき地複式教育の問題点の解消、マルチメディア機器の特性を生かした授業の創造、マルチメディア機器の活用方法の工夫の3点を追究していくことにある。そこで、児童の実態や機器の特性をふまえ、研究主題を「豊かに自分を表現できる児童の育成」と設定した。

 主題を達成するための仮説を以下のように設定した。
<仮説1>
 国語科を核とした音声言語活動(聞く、話す、話し合う)を意図的に授業に位置づければ、児童の表現力を高めることができる。
<仮説2>
 社会科や理科を通して地域の特性を相互に提供し、体験的に学習させることによって、柔軟な表現力を身につけることができる。
6年生の国語科では、<仮説1>を踏まえ学年仮説を次のように設定した。
 意見交流(パネルディスカッション)を単元のまとめに位置づければ、児童の表現力や思考力を伸ばし、国語に対する意欲を増すことができる。
6年生につけたい表現力は、
話す力目的や意図に応じた表現をするために、全体を見通して適切に話す力
聞く力目的に応じて効果的に話を聞く力
話し合う力相手の話の内容を自分の生活や意見と比べながら聞き、自分の意見をまとめて話す力
である。このような力を育成していくためにはパネルディスカッションが適切であると考え、位置づけた。

パネルディスカッション
jissen13-01.pdf

3 「自然を見つめて」単元指導計画
jissen13-02.pdf

4 本時の目標
 仲間の意見を参考にして環境問題について考えを深めることができる。
話す力:資料をもとに根拠をもって話すことができる。
聞く力:自分の考えと比べながら聞くことができる。
話し合う力:相手の意見を聞き賛成意見や反論をすることができる。

5 本時の展開
jissen13-03.pdf

6 考察
(1)表現力の育成について
 今回の実践では、児童が積極的にマルチメディア機器を活用できるように配慮してきた。6年生は、機器が導入されてから2年間、機器の活用の仕方を見てきており、特別に指導することなく機器を使いこなすことができた。意見発表では、パソコンや書画カメラを教師の援助がなくても効果的に活用し、聞き手に分かりやすく説明することができた。説明の資料作成の場面でも、編集機等を活用し意欲的に取り組むことができた。
 話し合いの場面では、坂内小の児童は積極性に欠けていた。単元の導入とパネルディスカッションに関わる数時間だけをマルチメディア機器を使って東小と共に学習をした。授業終了後の児童は、あまり知らない学級だったので話せなかったと言っていた。改めて交流学級の仲間を良く知っていることの大切さを考えさせられた。

(2)パネルディスカッションについて
 児童が実践的な表現力を身に付けるためにパネルディスカッションを単元の終末に位置づけることが有効であることがはっきりしたが、以下のことを今後留意して進めていく必要がある。
・パネルディスカッションを行っていく中で、児童はよい表現をしている。しかし、多くの児童は、その表現のよさに気が付かないまま聞き流してしまうことが多い。教師がパネルディスカッションの司会をして、その表現のよさを聞き漏らさないで他の児童に広げる必要がある。また、内容についてより考えを深めていくためにも、教師が司会をする必要がある。
・テレビを利用して資料を提示する場合、多くの資料が提示されてもそれを把握することは難しい。そのため、話し合う資料を精選したり、グラフや文書資料などは事前に印刷するなどして児童がすぐに見ることができるようにする配慮が必要である。
・パネルディスカッションで話し合う立場があまり多いと、話し合いの焦点をつかめないまま進んでしまうことが考えられる。そこで、基本となる立場は精選する必要がある。

7 成果と課題
<成果>
・単元の終末にパネルディスカッションを位置づけたことは、児童が実践的な表現力を付けるためには有効であった。
<課題>
・積極的な話し合いができるように、相手の学級の仲間をよく知っておく必要がある。
・パネルディスカッションについて、司会者、内容や資料の精選、時間配分等を今後考慮していく必要がある。

戻る