1 指導の立場
(1)単元について
絵かきゲームの前に「たのしかったこと」という作文教材が設定されている。楽しかったことを思い出しながら、したことの順序を整理して作文を書くことを重点においた学習である。本単元は頭で問題文の絵を順を追ってイメージすることや、絵をかく順序を整理して問題文を書く・聞く・話すことに重点をおいている。また、ゲーム性の強い単元であるため、子どもは興味・関心を持って取り組むことができると考える。
言葉で聞き手に絵の情報を正確に伝えるとき、絵の一部分ごとに説明していかなければならない。言葉だけを手がかりにして聞き手は、絵を描いていく。したがって話し手は聞き手が分かりやすいように、文章表現や話す順序を工夫することが重要である。また、聞き手は話し手の言葉に集中し、その言葉から自分なりにイメージを作り上げていくことが重要であると考える。そのために、児童の実態に合わせてイメージできる簡単な絵を問題として取り上げていきたい。
(2)子どもの実態
坂内小学校の2年生は、女子4名である。休み時間は活発に遊ぶ姿が見られ、人数が少ないため、学年にはあまりこだわらずに他の学年と接することができる。
国語の授業では、主人公の様子や気持ちを自分なりに場面ごとの文章の語句から読みとることができつつある。読みとりは子ども一人一人違っているが、読みとりを深めたり広げたりするために発表を交流しようとしても、十分練り合うことが少ない。ある語句に着目して発表しても、それに関した意見が出にくい。意見が出ても、つけたし意見や反対意見を一つ二つ言っておしまいになってしまう。人数が少ないために多様な考えが出にくく、また、様々な考えを友達から聞く機会が少ない。
マルチメディア機器を通してこの単元を学習することによって、自分の考えを活発に出すと同時に、多様な考えを聞いて、話す力・聞く力を子どもにつけていきたい。
3 研究主題とのかかわり
本単元は聞く・話すを中心とした授業である。絵かきゲームは聞き手に分かるように、順序に気をつけて問題文を作り、分かりやすい速さで話す。聞き手は絵を描くために必要な情報を、話し手の内容だけから得る。そのために一語一語を集中して聞いたり、頭に絵のイメージを思い浮かべて絵を描いたりすることが必要になる。この単元で、豊かに自分を表現できる児童の育成を具現できると考える。
マルチメディア機器を使用する利点として4つ考えられる。
・たくさんの友達と問題を出し合えるので、楽しく学習することができる。 ・坂内小だけでは多様な考えが出にくいので、東小と一緒に学習することによって多様な考えを知ることができる。 ・モニター画面を通じて授業をするので、相手の話をしっかり聞く姿勢や、相手に分かるようにしっかり話す姿勢を身につけることができる。 ・書画カメラを使うことによって、正解の絵や問題文を自校と相手校の友達に正確に伝えることができる。 |
4 指導計画
jissen05.pdf
5 考察
(1)児童について
1年生の時のフェイスtoフェイスで知り合った友達を探す姿が見られた。単元を通してマルチメディア機器を使って授業を進めていったので、児童が機器を通して東小と共に学習することに慣れることができた。自分の問題を発表したい、問題を聞いてこんな絵ができたことを発表したいという思いが強く、積極的に学習に取り組むことができた。
(2)機器について
コンピュータを板書として利用して例題の絵の書き方の順番を表示した。手軽に板書ができ、画面のページの切り替えで瞬時に正解の絵を表示することができ、便利であった。
平型マイクを使うことで普段の教室で話す感じで話せた。新たにアンプとスピーカーが設置され、相手校の音声もより聞き取りやすくなった。カメラ固定によって、子どもが教室全体の雰囲気を知ることができ、教師のカメラ操作の負担が少なくなった。正解の絵を書画カメラで映すことにより、子どもが相手校に簡単に正確に伝えることができた。
(3)教科について
例題で問題の出し方(輪郭から描くこと)を確認してから、問題作りに取り組んだところ、絵を描いてもらう順序の全体の流れや、絵の部品ごとに場所や向きなど、問題文を考えて書くことができた。相手に自分の絵を描いてもらおうということを意識させたので、ゆっくり、はっきり、大きな声で話すことに気をつけることができた。
問題を聞き終えてから絵を描くことを単元の終わりに位置づけることによって、話す人に集中して、問題を聞くことができた。また、頭の中だけで問題のイメージを作り上げて行くのは難しいためか、手のひらと指を使って絵を何とかイメージしようとがんばっている児童も見られた。教師の役割T1(坂内小)は主に授業を進めていき、T2(東小)は両校の子どもの名前を把握しているので指名や支援、T3(東小)は機器操作を担当した。
問題を出し合う授業では、なるべく多くの子どもが授業で活躍できるように回答者の絵と自分の絵が同じだったら拍手という約束で進めた。そのことにより、自分や回答者を認め励ます場として個々の励みになったり、出題者がどこでつまずいたのか振り返る場として、みんなでつまづきを考えることができた。
6 成果と課題
<成果>