1 期日 平成12年12月18日(月)〜20日(水)
2 視察訪問先について
(1) 福岡県大野城市立御陵中学校
(2) 〃 〃 平野小学校
(3) 福岡県大牟田市立駛馬南小学校
(4) 〃 〃 教育委員会
3 研修視察参加者
高山市立東小学校教諭 鎌手 晋
〃 岩滝小学校教頭 瀬ノ上裕
〃 東山中学校課長補佐 大上由雄
4 研修内容について
(1) この事業を、それぞれの地域学校でどのように推進しているか。
(2) 会計処理について、どのように進めているか。
5 視察報告について
【福岡県大野城市立御陵中学校】
学校の研究テーマに「テレビ会議システムの活用」を掲げ、全教師が年2回の授業公開を行う。また、国際理解教育の一環として、海外との交流校を持ち(オーストラリア:アララト)、テレビ会議システムでの交流を行っている。また、3年生は、修学旅行先の中学校(鹿児島)ともテレビ会議システムやインターネットによる交流を持ち、修学旅行の折には実際に相手の中学生に会い、オフライン交流も合わせて行っている。
各教科での活用を積極的に実施するためには、校内各教室での利用が必然的に要求され、授業者の希望に応じたシステム自体の移動運搬が発生している。例えば、家庭科では家庭科室、体育では体育館(臨時回線設置)とそれぞれの場所に移動し活用を行う。これに伴う作業の移動には数人の人力が必要となる。同じ階の移動は、機器にキャスターが付いているので難しくないが、階が違う場合は大変である。中学生も動員することが多い。また、移動した場合、配線には2時間近く要し、かなり難作業を伴う。
しかし、全ての教科での活用を考えると、こういった作業と手間がかかり面倒でも授業者の希望を受け止め、実践を進めている。ただし、加配教諭が研究の中心とサポートとして動いている。
校内研究として、教師全員がTV会議システムあるいはインターネットを活用した公開授業を年間2回実施している。
コンピュータ加配教諭は、担任を持たないで週8時間の授業時間を受け持っている。また、加配教諭は、指定事業の研究の中心として研究推進に努めている。これから学年末にかけて、来年度の推進計画を立案する事が大きな仕事となる。今年度の内に次年度の計画立案をするもので、各教科担任にTV会議システム等を利用した授業計画(実施可能な領域や単元、時期等について)を作成してもらう。一方、交流相手校との調整も大変重要であり、同領域、同単元でも時期や行事の関係で実施日の調整が複雑に進行する。
御陵中学校では、特定の交流校との長期的交流を行う中でテレビ会議システムの位置付けを行っている。さらに、短発的な交流の申し込みも結構あり、こういった要請には可能な限り受けることを基本的な姿勢としている。テレビ会議システムを設置している部屋に生徒がきて活用するほか、システムを特別教室などに持ち運びするなど柔軟に運用している。
【福岡県大野城市立平野小学校】
この小学校では、コミュニケーション能力を育てることを研究テーマの柱に掲げ全校規模での研究推進を行っている。テレビ会議システムを用いたオンライン交流と実際に児童が対面するオフライン交流の二つの活動を位置付けている。
テレビ会議の交流では、相手校が必ず存在するので、お互いの学校にとって「得をする活動」を考えていかなくてはならない。特に小規模校と大規模校など規模の違う交流では、交流のあり方も考えなくてはならない。同じパターンでどことでも交流ができるわけではない。
この学校では、へき地校(矢部村矢部小学校)とオンライン交流のみならず、実際にバスを利用して行き来するオフライン交流を行っている。オフライン交流の例として、ウサギは矢部小からもらい、世話の仕方などはへき地の子供達に教えてもらっているとのことである。また、サポートとして地域の人やPTAの人に手伝ってもらう体制を作っている。管理職を含め強大な推進力を持ち、全職員のコンピュータに対する構え(意識)が高いので柔軟に関わることができる。
マルチメディア活用授業実践は、1年次(10月から3月まで)13回、2年次33回(総時間数49時間)であり、協力校の矢部小、佐田小、津野小をはじめ、沖縄石垣島川平小、福井県中名田小、オーストラリア・アララト西小と交流実践を行っている。校長先生からは問題点を挙げられた。異なる教育事務所や教育委員会をまたぐ地域での指定であるため、問題や課題も多く足並みをそろえるのが難しい面がある。各学校の事業運営方法や研究推進に違いが見られ、人事異動によって教師が異動すると変わった面が表出してくる。本校のような指定校には、この事業を推進するといった目的を持った教員に来ていただいている。テレビ会議システム運用には、担当者や特別推進委員会だけでは負担が大きくなるばかりであり、全職員が推進できるように配慮する必要がある。したがって、学校経営の中核に位置付けてこそ価値が発揮され、教務主任が研究主任を兼ねて推進の中心になっている。
事業指定期間は、3年間と定められているので、この期間内は予算も付き、通信費も保証されている。しかし、事業終了後の機器の運用、通信費の確保は、なされていないので各学校での対応になる。教育委員会やPTAなどへの働きかけを行って理解を求め、事業終了後の運用を視野に入れた学校の対応を考えていかなくてはならない。
【福岡県大牟田市立駛馬南小学校】
研究の積み重ねが長期にわたり大牟田市の中心的役割を担っているため、機器整備(サーバーによるファイル管理と全教室LAN構築、2人に1台のパソコン室、2教室分のテレビ会議室)や児童の構え方など確立している面が大きい。
テレビ会議システムの導入は、実質的に昨年度の2月である。このシステムを用いての交流は、協力校間(小石原小学校、小原小学校、寒田小学校、福岡県立養護学校)、宇治市の笠取小学校、一般文化施設(マリンワールド)などがある。
協力校との交流は、平成11年度に9回、平成12年度は2学期までに6回実施している。その他、計画や打ち合わせ等にもテレビ会議システムを活用するなど授業以外での活用もおこなっている。テレビ会議システムの交流はともすれば一方からの発表形式になりがちなため、双方向性を生かす交流を大切にしている。
また、児童のコンピュータ操作技術が高く、プレゼンテーションでの発表形式で運動会の様子や伝統行事などの交流を行っている。テレビ会議システムが設置されている教室は2教室くらいの広さがあり、歌ったり踊ったりできる余裕のスペースが確保されている。この部屋の後ろには、パソコンが10台ほど置かれ児童が学習に取り組んでいた。この教室には、カメラが天井に固定されているため扱いにくいとのことである。また、教師用の専用操作卓があり、教師用のモニターの配備されていたが、ここではペンタッチで操作する方法しかないため、瞬時に応じた対応が難しく、やや使いにくいとのことである。
中学校との交流は難しく、現時点では実施していない。海外の小学校との交流(韓国や時差のない外国)も考えている。これまでの成果や課題については、次のような事である。