現状と今後の課題
「教育と情報」(1998.9)
岐阜県における教育情報ネットワークの現状と今後の課題
1 はじめに
岐阜県においては、教育委員会の各課及び知事部局と連携を図りながら、県図書館を中心とした教育情報ネットワーク(SMILE)を段階的に整備拡充してきた。県図書館と生涯学習センター、そして2箇所のアクセスポイント(飛騨、東濃)を専用回線で結び、平成7年7月7日に県や市町村の社会教育施設等から書誌情報、生涯学習情報が収集できるパソコン通信がスタートした。
学校においても、県図書館の書誌情報等が活用できるように、県立の高等学校及び特殊教育諸学校86校にINS64と端末機1台を整備し、SMILEを活用したネットワークを県立学校に拡充した。
また、その他の県内教育機関(情報処理教育センター、教育センター、スポーツプラザ、教育用ソフトウェアライブラリセンター等)を専用回線で結び、インターネットに接続し、多くの情報を収集できるようにシステムを拡充した。
さらに、平成8年度には知事部局と連携して、公立の小中学校等に、1台のインターネット端末とINS64を整備し、民間プロバイダに接続して、インターネットを活用できる環境を整備した。
2 教育センターの拠点整備
平成9年度には、本県の学校教育を一層充実発展させるために、教育センターに情報通信ネットワーク拠点を整備し、インターネットを利用して、各学校・各教育機関等から教育センターの教育研究資料や教育図書情報、教育用ソフトウェア等の様々な教育情報を入手できるようにした。
また、学校教育における情報化を推進するためには、コンピュータを操作・指導できる教員の養成が必要不可欠であるため、教育センターに研修用のインターネット端末36台を整備した。
3 教育センターにおける教職員研修
学校教育における情報化を一層推進するために、平成9年度には、各地区・各学校のリーダー的な教師(330人)を対象にインターネット特別研修講座を実施し、平成10年度以降に実施するインターネット研修講座の指導者を育成した。
平成10年度には、「基礎」「活用」「応用」「特別」「校長」の5つの研修講座を実施し、年間約1600人の教員が受講する予定である。
<研修講座の主な内容>
○インターネットの接続の方法
○ホームページの検索と表示の仕方
○ホームページデータの活用の方法
○メールの送受信の方法
○ホームページ作成の方法
○のぞましいホームページの在り方
○個人情報保護、著作権
○ネットワーク・エチケット 等
4 インターネット通信講座
インターネットの操作法や活用法を修得するには、毎日の繰り返しが大切である。教育センター等における集中的な研修以外に、在勤校における研修を実現するために、次の方法により「インターネット通信講座」を実施し、「主体的かつ自由」に研修ができる環境を整えた。
全学校等をインターネットに接続し、メーリングリストを構築した。
県内の学校の教師を通信講座ボランティアとして募集した。
ボランティア間で送信するテキストの作成及び添削を行い、完成したテキストを教育センターに送信するようにした。
通信講座配信計画にそって、毎日(月〜金)全学校にテキストを送信した。
各学校では、メール当番を決めるなどをして、毎日送付されたメールを開き、テキストをもとに工夫した研修を実施している。
<通信講座の内容>
平成9年度の通信講座
平成10年度の通信講座
〜インターネットの基本操作研修〜
第1章「ホームページの活用」
第2章「E−mailの活用」
第3章「ホームページの作成」
第4章「環境ウォッチング」
「学習に活用できるホームページの紹介」
5 教育情報ネットワークの活用
本県においては、SMILEの整備に伴い、平成10年4月現在、小学校16.7%、中学校20.0%、高等学校及び特殊教育諸学校100%が、ホームページを開設し、情報発信している。また、岐阜大学教育学部附属カリキュラム開発研究センターや教育センターと連携して、教育情報ネットワークの活用研究を推進している。
情報交流としての掲示板、協同学習としての遠隔共同調査、情報の共有としてのアンケート利用、通信手段の拡充としてのメーリングリストなど、インターネットの教育での活用について実践研究している。
(1)ホームページコンテストの実施
各学校においては、児童生徒の学習のまとめや各地域の自然・文化・伝統・産業等の独自の情報発信が行われるようになってきた。
そこで、昨年度、教育センターが中心となって「児童生徒ホームページコンテスト」を実施した。その結果、98点の優れた作品の応募があった。
(2)SMILE掲示板の活用
SMILE掲示板は、インターネットを活用して、教師間の意見交流による授業の質的改善、児童生徒間の活動交流を行うために開発したものである。
現在開設された掲示板の部屋は、「地域素材の活用」「環境ボランティア」等であり、学校間の垣根を取り除き、情報受信から情報発信できる教師及び児童生徒の育成に努めている。
(3)メーリングリストの活用
地区別の学校、校種間等のメーリングリストを作って、次のような活動や情報を提供している。
ネットワークによる研修(インターネット通信講座)
ボランティアによる通信講座のテキスト作成
教育センター等からの緊急情報提供(台風時等における受講方法について等)
教育委員会からの連絡
校長会や事務職員会等からの連絡
各学校での研究発表等の案内文
各教科の研究委員会からの開催通知
メーリングリストの活用で、情報伝達のスピード化、情報のデジタル化を図ることができるようになってきた。今後は、情報処理能力を高め、自分に必要な情報を収集し、活用できるようにしたい。
6 今後の課題
インターネットを活用した全学校対象の通信講座や教育センターのインターネット講座の実施等によって、教師のインターネットに対する意識や操作能力も徐々に高まりつつある。
今後は、各学校のホームページについて、どんな目的で、誰に向けての情報発信なのかを十分に考え、ネットワークを活用した学校間の情報交流などの活動を工夫していきたい。また、児童生徒がいつでも、どこでも、だれでもインターネットを安心して活用できる環境作りにも、取り組んでいきたい。
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