第1分科会 交流教育
提案者:大垣市立荒崎小学校 増田 芳子 教諭
大垣市立東中学校 小倉 正裕 教諭
助言者:大垣市立小野小学校校長 河合 正明 先生
司 会:三輪 真也
記 録:鈴木 稔朗
提案1 ブラジルの子どもたちとの交流 大垣市立荒崎小学校 増田 芳子
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(1)目的
・外国と日本の文化に触れることにより、国際理解、異文化理解の基礎を培う。
・自分の考えや意見をわかりやすく表現できるコミュニケーション能力を育てる。
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(2)実践総合的な学習の時間における、荒崎小学校5年生とブラジル人学校「HIRO学園」との交流
@10月19日「ブラジルの子の名前をおぼえ、仲良くなろう」
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内容 ・互いの国のジグソーパズル
・けんだま(ブラジル名ビビリオペ)
・ブラジル風お手玉
・折り紙(新聞紙のかぶと作り)
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日本でもブラジルでも親しまれているもの、共に遊ぶことで仲良くなれそうなものという視点で、子どもが内容を決めた。国歌を微動だにせず歌うブラジルの子の姿に刺激を受ける。
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A10月31日「HIRO学園の子に喜んでもらえる交流会にしよう」
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内容 種目選択の交流
・サッカー・ソフトバレー・サンバ、盆踊り・おやつ作り
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交流会の前に「どうしたら喜んでもらえるか」について話し合い、子ども一人一人が目当てを持てるようにした。
子どもたちは次のような目当てを持ち、交流会に臨んだ。
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・相手のいやがることを言ったりしたりしない。
・自分から声をかける。
・相手の表情を見てどんな気持ちなのか考える。
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2回の交流会を通して子どもたちの間に親しみが増した。
B11月28日「HIRO学園へ行ってみたい」
「HIRO学園へきてほしい」「行ってみたい」という両校の子どもたちの願いで実現。
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内容 ・体 育:リレー遊び
・音 楽:「聖しこの夜」をポルトガル語と日本語で
・英 語:英語の発音、カルタ
・日本語:しりとりやゲーム
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・ブラジルの子のよいところは優しいところ。
・新しい友達ができてうれしかった。
・心が通じたら言葉の壁はないのだと思った。
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(3)成果と課題
○遊びを通して両国のよさを実感できたこと。
○ブラジルの子のよさを認識し、ブラジルを好意的に見られるようになった。
○ポルトガル語の挨拶を覚えることを通して他者の身になって考える力がついた。
●今後の交流の深まりをどう創りあげるか。
●学校に在籍する外国人子女との心のつながりを図る活動をどう創出するか。
(4)協議会より
Q1:子どもの願いを大切にした継続的な活動が素晴らしい。5年生は来年も交流を継続するのか。
A1:6年生は総合的な学習のテーマが「福祉」に移るので継続はしない。個人レベルでつながっている子はいる。
Q2:交流に関わる経費はどう捻出されているのか。
A2:市教委の「地域人材活用」の予算やロータリークラブからの援助で推進している。
提案2 学校単位の海外研修事業への取り組み 大垣市立東中学校 小倉 正裕 教諭
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(1)目的
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○より多くの生徒に海外研修の機会を与える。
・現地の生徒や家族とのふれあいの中で進んでコミュニケーションを図る。
・外国の自然や文化に直接触れ、国際感覚を身につける。
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(2)実践
@取り組みの発端
・5月、PTA会長と校長との話し合い。「より多くの生徒に海外研修の機会を持たせたい。
・PTAのプログラムとして是非実現したい。」
・元ALTの紹介により、条件の整ったオーストラリアに研修場所を選定。
A支援体制
・PTA:説明会の実施、パンフレット作成、送迎バスの手配
・学 校:事前学習会、現地との交渉、学校訪問の準備
B研修内容
○現地校訪問
第2外国語に日本語が設定されている。折り紙、リコーダー演奏、質問会。
○ホームステイ
同年代の子どもがおり、保護者がホームステイの意義を理解。
○自然や歴史に触れる
ブーメラン、カヌー体験。コアラ、カンガルーとの触れ合い。
(3)成果と課題
○希望生徒全員を参加させたこと。
○学校訪問で交流活動ができたこと。
○自然体験により、オーストラリアを身近に感ずることができたこと。
●PTAの支援体制をいかに確立し、学校単位の海外研修事業を継続させるか。
(4)協議会より
PTAの方より:自宅で行っていた英語教室が縁になった。コブラムという地は魅力的。語学研修も大切だが、経験により、子どもの中に何かが残ってくれることを願う。
Q1:PTAとしての研修に向けての組織や取り組みを具体的に教えて頂きたい。
A1:まだ組織だってはいない。とにかく行かせてやりたいという願いと協力で実現した。
Q2:「学校単位の海外研修」という事業に関して、市教委との連携は。
A2:主催はあくまでPTAであり、学校はプログラム紹介の立場という認識で、市教委とも問題なく連携できている。
(1)総評
かつて自分が大垣市で国際交流を立ち上げたときは、来る(交流の)話を待っていればよかった。それが今は学校側から主体的に働きかけて交流がなされている。昔日の感がある。
人脈の大切さを実感した。「世界青年友の会」「国際交流協会」等の組織とも常に連携をとっていかねばならない。さもないと、働く目的で来ておられる外国の方を、身近に居られというだけの理由で即招聘するのは時に困難になる。
子どもに体験をさせたり、機会を与えるためには、PTAや教師に大きな度量がないと無理である。チャレンジ精神を持ち、意識改革していきたい。
(2)荒崎小の実践について
・子どもの願いが大切にされているのが素晴らしい。交流の発端は大人の願いであるからどうし ても大人の論理の交流になりがちなことに注意を払いたい。
・校内の共通理解の作り方として、提示されていた「支援計画表」は出色である。
・経費や、学年を越えた継続の問題も工夫次第でクリアできる。交流を「国際理解」というカテ ゴリーのみに止めず、環境や横断的な学習と関わらせながら幅広く考えていくべきである。そ れが経費の出所の開拓にもつながる。
(3)東中の実践について
・行政主催の派遣事業は門戸が狭まる傾向にある。本実践のPTAのように支援団体を大切にしたい。
・本実践に学び、豊かな発想で交流教育を開拓していくべきである。大垣市では2番目のブラジ ル人学校「ポルトセグロ校」が開校する。人脈を培い、生かし交流教育を進めていこう。