マレー凧と民族楽器サンポトン(マレーシア



       マレ−凧 (2点)

 マラッカ王朝時代からの伝統的な娯楽。
毎年競技会も行なわれます。
強い竹でできたわくに色あざやかな水をはじく紙。



 近年、ここでの動植物の研究が盛んに行なわれるようになってきました。昆虫類でいうと、蝶の研究が最も進んでいます。その蝶もまだまだ確認されていない新種が数多く生息していると言われます。海外青年協力隊員の活躍でバタフライファ−ムが作られ、昆虫調査のために研究者がよく訪れます。

 暑さや湿度、外敵を防ぐ高床式住居、胃に刺激を与え、食欲をそそり、殺菌作用もある香辛料を使った料理にはまさに自然との調和がうかがえます。また、竹を原料として作られたマレ−凧やムンクワン編み、97%の錫からできているピューターなどの伝統工芸にも自然環境との密接なつながりを感じます。自動車が増加し、溢れる家電製品などのめざましい経済発展の波も確実に見られます。 日本と同様排気ガスや生活排水、ゴミ問題など環境の悪化が懸念されつつある現在ですが、それぞれの民族や宗教の精神を大切にしながら、豊かな自然を足場にそれぞれの違いを越えた融和の中に、ゆるやかに時間が流れているのがボルネオ島です。 (豊林 久司)
サバポッテリー

ボルネオ島のサバ州特産の焼き物
サンポトン(楽器)

オルガンのような構造で、上についている数本の管のうち1つの穴をふさいで吹き口から息をいれる。ひょうたんと竹を利用している

マレーシアの展示品



小から大へのかご 10
10個で一つにまとめることのできる民族工芸の入れ物


インドネシアから伝わった「ろうけつ染め」。
 型押しの場合、染色させていない布に、ろうでパタ−ンを描き、染液に浸して色をつけ、その後、ろうの部分を熱湯で洗い落とすとパタ−ンが染め抜きになって、もようが浮かぶ。この過程を何回も繰り返してカラフルとなる。
   


レストランでの民族楽器の演奏(ベトナム)
 
 ベトナムと言えば、常夏の国・ベトナム戦争・水ヤシの茂る湿地帯・アオザイを着た女性がオートバイで颯爽と走る街などを連想し、東南アジアの中にあって不思議でまた魅力的な国です。
 ここでは、ベトナムの民族楽器に焦点を当ててみます。ベトナムには、胡弓・琴・一弦・月琴・竹琴・打楽器などがあり、ほとんどが中国から伝わったものです。しかし、一弦だけはベトナム独特のもので、一本の針金を張り長さを区切って倍音を出すのです。これがまた何とも言えない官能的な音を出すのです。ですから、昔から女性は、夜はこの音を聞いてはいけないと言われているほどです。私もこの楽器にとりつかれてレッスンに通いました。
 ホーチミン市のベトナム料理レストランでは、毎夜これらの民族楽器で合奏をしています。曲は「北国の春」「花」「昴」といった日本の流行歌ばかりです。これらの曲が流れると、日本人の観光客は拍手喝采をし、一時の日本情緒に浸るわけです。一方、ホーチミン日本人学校で高学年に民族楽器を指導したところ、「茶摘み」「赤とんぼ」「夕焼けこやけ」などの合奏ができました。ベトナム音楽は五音音階であり、日本の唱歌や演歌にも似ているため、ベトナムの民族楽器がぴったり合うのです。
 しかし、これがベトナム民族楽器の本来の姿ではありません。ハノイ市とホーチミン市には音楽院があり、民族楽器を使って伝統音楽を学生に教えています。日本人学校では、その音楽院の教官を招き演奏会を開きましたが、それはそれは感動するものでした。またCDも市販されており、芸術性の高いものばかりです。
 こういったベトナムの素晴らしい民族楽器や音楽は、まだ日本に広まっていません。是非、この機会を通してベトナムの民族音楽に興味・関心をもっていただければ幸いに思います。
                 (蒔田 義信)
ベトナムの展示品
月琴

 丸い胴に日本の弦が張ってあります。素朴な音がしますが、この楽器をかき鳴らした「ベトナムじょんがら節」の感じの曲もあります。


琵琶


 日本の琵琶と形は同じですが、バチで弾くのではなく、爪弾きかピックで弾きます。ポジションを押さえ和音を出して伴奏が主となります。

一弦

 ベトナムの古来の楽器です。一本の針金を張り、右小指で区切り、同時にピックではじいて倍音を出します。出る音はドソドミソドで、その他の音は左の支柱で弦を伸ばしたり縮めたりして出します。