中学校 新学習指導要領 美術
1.生きる力の育成を重視した美術科の改訂の基本的な考え方
(1) 美術を愛好する心情と感性を育て,豊かな情操を一層養うこと。
(2) 柔軟な発想力や形,色,材料で表す技能などの基礎的能力を確実に身につけられるようにすること。
(3) 視覚的な表現によって伝えたい内容をスケッチや図,コンピュータ等映像機器などを使って表現し,交流できるようにすること。
(4) 我が国及び諸外国の美術文化や表現の特質等についての関心や理解,作品の見方を深めるなどの鑑賞の指導が充実して行われるようにする。その際,鑑賞に充てる授業時数を十分確保できるようにするとともに,美術館等地域の施設の活用も図るようにすること。
2.取り組むべき新しい課題
(1) 美術科の性格をふまえた指導理念の確立
○ 生きる力の観点から考えた美術とは,
美術の表現・鑑賞の活動にかかわって何に価値を見いだし自己決定して生きるかの創造的行為であり,さまざまな事物・事象,経験などから感性と想像力を働かせ,よろよい価値世界を造形美術という手段で表しつくりだす営み。
○ 愛好するとは,
その活動に,生きることの自分としての意味や価値意識をもち,新たな自分の価値をつくりだそうと求め続けること。
* 美術の学習は,生徒の主体的・能動的試行錯誤の自ら学ぶ学習によって行わなければならない。
◎ 美術科のなすべきこと
@ 美術の楽しみを教えること(興味・関心,意欲,美術の価値の理解と愛好心)
A 豊かな情操を養うこと(美しさやよさ等を感じ取る感性や豊かな感情及びそれらにあこがれ求め続ける持続的な心性)
B 美術の基礎的,創造的資質・能力を培うこと(観る力,感性,発想・想像・構想力,構成力,表現技能)
C 美術や自己の生き方についての視界と可能性を広げること(自然や他者,さまざまな芸術作品や美術文化等とのかかわりの中で,自分自身及び人間の美的・創造的表現行為やその生き方の価値を見いだすこと)
(2) 基礎的能力を確実に身に付け,美術を愛好する心情を育てる。
表現に関する8つの基礎
@ ものの見方・感じ方を深めること(観る力,感じ取る感性)
A 主題や発想を創出すること(発想力,イメージする力)
B 考えやイメージをまとめ組み立てること(構想力,構成力)
C 形・色・材料で表す感覚や基礎的技能を身に付けること
D 創意工夫して自分らしく,よりよく表すこと
E 全過程を通して自己確認すること(自己確認の態度)
F 作品を通してコミュニケーションや批評をし合い,互いのよさや個性などを理解し合うこと
G 自分の作品に愛着をもち,大切にすること
(3) 感性を豊かにし,豊かな情操を一層養う
自由にかつどうさせておくだけでは育たない。確かな指導や心豊かな環境づくりが必要
(4) 鑑賞の指導の充実を図る
(5) 個に応じた多様な表現方法の選択幅を広げる
(6) 生徒が楽しく主体的に学ぶ美術へ
(7) 個性に応じて学習を高められる選択教科の授業の開発