事例 小学校社会科                            飛騨地区(K小学校)

1 単元について

対象学年

小学校 第6学年

学習指導要領

第6学年の内容(1)ク

単元名

「戦争を体験した人々とくらし 〜清水少年の戦争〜」(全7時間)

単元目標

○戦時体制への移行や、戦時中の国民の生活などに関心をもち、興味をもって意欲的に調べながら、我が国の歴史や伝統を大切にし、平和な未来を築いていこうとする態度をもつことができる。                 (社会的事象への関心・意欲・態度)

○戦争が国民生活に及ぼした影響や、戦場になった地域の被害の様子などについて問題意識をもち、見通しをもって追究し、根拠を明らかにして適切に判断することができる。

          (社会的な思考・判断)

○現在と戦争当時の生活の違いなどについて身近な調査活動をおこなったり、戦争当時の資料を効果的に活用したりして、具体的にまとめことを分かりやすく表現することができる。                       (観察・資料活用の技能・表現)

○戦争の歴史的背景や、我が国がアジア・太平洋地域において連合国と戦って敗れたことなどを知り、国民や戦場となった諸国が大きな被害・損害を受けたことを理解することができる。                    (社会的事象についての知識・理解)

配慮事項

基礎的・基本的な内容の確実な定着の工夫

○単元指導計画作成上の工夫

・戦争当時の状況が身近に感じられ、学習に対する意欲が高まるように、当時、市内で児童と同世代であった人物を取り上げ、教材化する。

・身近な資料を使用しながら、児童の思考の流れに合わせた指導計画を作成し、人物の生き方を通して、社会的事象を多面的・多角的にとらえられるようにする。

・児童が記入した自己評価表を集計し、その結果を分析することによって学習状況を把握し、次時の指導に生かすことができるようにする。

○単位時間における工夫

・導入資料からの疑問をもとに必然性のある課題を設定し、本時の学習に対する見通しをもつことができるようにする。

・調べ学習や意見交流の方法を知らせ、学習の進め方を明確にすることによって、児童が自主的に課題追究していけるようにする。

・本時で付けたい力(4観点)について書かれた自己評価表に学習についての振り返りを記入し、児童が自ら社会科の学び方を習得し、学習意欲が高まるようにする。

参考資料

資料1:1時「清水少年の人物ファイル」

  2:2時「高山市の戦死者数」

  3:3時「斐太中学軍事教練写真」

  4:  「高山南小出身戦死者参拝写真」

  5:  「高山南小神社参拝写真」

  6:  「航空機部品を作る女学生写真」

  7:  「畑になった運動場写真」

  8:  「高山市民号写真」

  9:  「慰問袋を作る婦人会資料」

  10:  「戦時食標語」

  11:4時「出征兵士の写真」

  12:  「ミッドウェー海戦大本営発表」

  13:  「戦時中の教科書文と習字」

  14:5時「高山市梵鐘供出資料」

  15:  「岐阜市空襲写真」

  16:  「岐阜市戦時配給表」

 

2 単元の評価規準

 

ア 社会的事象への関

心・意欲・態度

イ 社会的な思考・判断

ウ 観察・資料活用の技

能・表現

エ 社会的事象につ

いての知識・理解

まご

とと

まの

り評

価規準

国家・社会の発展に大きな働きをした先人の優れた業績や文化遺産に関心をもち、それを意欲的に調べることを通して、我が国の歴史や伝統を大切にし、国を愛する心情をもとうとする。

国家・社会の発展に大きな働きをした先人の優れた業績や文化遺産から学習の問題を見いだして追究・解決し、歴史を学ぶ意味を考え、適切に判断する。

我が国の歴史上の主な事象にかかわる先人の業績や代表的な文化遺産を的確に調査したり、地図や年表などの各種の基礎資料を効果的に活用したりするとともに、調べた過程や結果を目的に応じた方法で表現する。

自分たちの生活の歴史的背景、我が国の歴史や先人の働きを理解している。

 

戦争当時の状況や、その時代をすごした人物の生き方について関心をもち、当時の国民生活について意欲的に調べることを通して、我が国の歴史や伝統を大切にし、国の平和や発展に生かしていこうとする願いをもつことができる。

戦中に少年時代をすごした人の生活の様子や、当時の具体的な事象から、現在の自分たちの生活と大きく違うことに気付き、問題意識をもって追究・解決を行い、戦争の悲惨さや、その意味を考え、適切に判断する。

戦時中の日本の様子について、様々な情報を使って的確に調査をおこなったり、日本軍の進路図や年表などの各種の基礎資料を効果的に活用したりするとともに、仲間との交流で互いの考えが深まるように表現する。

日本が他国と戦争した理由や、国民や他国の人々に大きな損害を与えたことを理解しているとともに、戦争を体験した人の生き方を通して、当時の人々の暮らしや考え方を理解している。

 

 

 

動具

に体

おの

け評

る価

@戦時中の国民生活や人物の生き方に関心をもち、課題追究のために進んで調べようとしている。

A清水少年の暮らしぶりについて、調べたことや考えたことを、意欲的に発表したり、仲間の意見を最後まで真剣に聞こうとしている。

B学習したことをもとに将来の日本や自分の生き方について具体的に考えていこうとしている。

@日本が戦争を拡大していく様子を当時の日本のおかれた状況から多面的に判断している。

A戦争を体験した人の言動から問題意識をもって課題設定し、見通しをもって調べ、当時の社会状況をとらえてその意味について考え、適切に判断している。

B当時の日本の国民がおかれた状況を、戦争を体験した人の生き方から把握し、そうなった根拠を広い視野から考え、判断している。

@戦時中の日本の立場や国民の暮らしについて、聞き取り調査を行ったり図書館等で資料を探したりしながら具体的に調べている。

A戦時中の国民の暮らしについて、戦争を体験した人の話や当時の写真を活用して具体的に調べている。

B清水少年が「こんな苦しい生活はもういやだ」という気持ちを一度も口に出して言わなかったことについて調べた内容を、ノートにまとめたり、根拠のある発言をして、お互いが高まりあえるように表現している。

@日本が中国やアメリカなどと戦って敗れたことや、戦争によって、日本が他の国々の人々に大きな損害を与えたことを理解している。

A清水少年の生き方を通して、戦時下の社会状況や、当時の国民生活の厳しい状況を具体的に理解している。

 

 

 

 

 

 

3 指導と評価の計画(全7時間)

(1)授業の流れ

第1次       自分の知っている戦争・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1時間)

   第2次 日本の戦争・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1時間)

第3次       清水少年の戦争・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4時間)

第4次       自分や日本のこれから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1時間)

 

(2)単元指導計画

ねらい

学習活動

評価規準

評価方法

指導・援助

○日本が経験した第二次世界大戦(太平洋戦争)について、事前の聞き取り調査や、図書館で調べ学習を行ってきたことなどを交流し、戦争についての興味を深め、学習についての見通しをもつ。

○本時までに戦争について各家庭での聞き取り調査についてまとめておく。

テキスト ボックス: 日本が戦争をしていたときのことについて、知っていることや、調べたことを交流しよう 

 

 

 

 


○知っていることや、各家庭や図書館等で調べてきたことを交流し、当時の様子についてのできごと等を簡単に知る。

 

○当時自分たちと同じ年齢であった、清水正夫さんについて知り、清水さんの当時の生活を調べていきながら学習を進めていくことを確認する。

 

○本時の学習についての自己評価をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<ウ−@>

○戦時中の日本の立場や国民の暮らしについて、聞き取りを行ったり図書館等で資料を探したりしながら具体的に調べている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○学習ノート

 戦争に関わった人物や、書籍、インターネット等から、具体的に調べたり、自分の知識から分かりやすく記述したりしているかを分析する。

○事前の聞き取り調査の内容についてつかんでおき、多くの視点から学習に向けた意欲を喚起し、特に日常生活に関わる事柄について重点化していくよう配慮する。

○これからの学習の見通しを確認できるように清水少年の人物ファイルを提示し、興味を持って学習が進められるようにする。

○日本が中国との戦争から太平洋戦争に戦争を拡大していったことを多面的にとらえ、戦争に敗れたこと、また、国民や他国の人々に大きな被害や損害を与えたことを理解することができる。

○高山市の戦死者の多さから、多くの人が亡くなったわけについて予想する。

テキスト ボックス: 清水少年の時代に起こった戦争で多くの人が死んだのはどうしてだろう 

 

 

 

 


○教科書や資料集より、日本が戦争に突入していく経緯や、日本国民・アジア各地域の人々の被害状況を調べる。

○調べたことをもとに意見交流を行い、仲間の考えから、自分の調査結果をより確かなものにする。

 

○本時の学習のまとめと自己評価をする。

<イ−@>

○日本が戦争を拡大していく様子を当時の日本のおかれた状況から多面的に判断している。

<エ−@>

○日本が中国やアメリカなどと戦って敗れたことや、戦争によって、日本が他の国々の人々に大きな損害を与えたことを理解している。

○学習ノート

教科書や資料集を参考にして、開戦から終戦までの一連の流れを、順を追ってまとめて記述しているか分析する。

○意見交流

 出来事だけでなく、その背景や自分の考えなども交えて発言しているかを分析する。

 

 

 

 

 

○戦争が拡大していった理由を多面的にとらえられるよう、地図を活用して位置関係を示したり、文章内容の意味などについては、個別指導を行い、理解を促す。

 

 

 

○自分の意見に対しては、根拠を示して交流できるように助言する。

○清水少年の学校や家庭での暮らしについて、資料を使って具体的に調べたり、意見交流をしたりすることを通して、当時は、日常生活のあらゆる場で戦争に関わる出来事や活動があり、国民と戦争とは切っても切れない状況になっていたことが理解できる。

○小学生の神社参拝の写真を見せ、当時の様子を予想する。

テキスト ボックス: 清水少年の学校や家での生活の様子から当時はどのような時代だったのか考えよう。 

 

 

 

 


○資料より、当時学校では軍国主義的な授業や、戦争にそなえての活動が多く取り入れられていること、また、学校外でも奉仕・寄付金活動など、戦争一色の毎日であったことを調べる。

○調べたことをもとに意見交流を行い、仲間の考えから自分の知識を確かなものにする。

○本時の学習のまとめと自己評価をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<ウ−A>

○戦時中の国民の暮らしについて、戦争を体験した人の話や当時の写真を活用して具体的に調べている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○学習ノート  多様な資料を参考にしながら、清水少年の生活のあらゆる場面が戦争を続けるための国の体制とつながっていたという根拠が明確に記述してあるかを分析する。

○神社参詣写真については、国民が一丸となって必勝祈願をしていた状況をおさえるにとどめ、清水少年の生活の様子を考える足がかりとして扱う。

○日常生活のあらるゆる場面が戦争につながっていたことを、興味のある資料にしぼって、課題追究できることも助言する。

 

○清水少年が兵隊になりたかった理由について、資料から進んで追究したり、意見交流したりすることを通して、当時の軍人は子どものあこがれの職業であり、国のために死ぬことは名誉であったことが分かる。

○戦場での悲惨さを訴える資料を提示した後、清水少年の夢の理由について予想する。

テキスト ボックス: 清水少年が、戦場で死ぬかもしれない兵隊さんに早くなりたいと夢見ていたのはどうしてだろう 

 

 

 

 

 


○資料より、当時は兵隊になって戦地に赴くことが当然だと教育されており、出征していく人のかっこよさや、がんばっている国や兵士のために早く役に立ちたいという純朴な気持ちから兵隊になりたかったということを調べる。

○調べたことをもとに、意見交流をおこない、仲間の考えから自分の知識を確かなものにする。

○本時の学習のまとめと、自己評価をする。

<ア−@>

○戦時中の国民生活や人物の生き方に関心をもち、課題追究のために進んで調べようとしている。

<イ−A>

○戦争を体験した人の言動から問題意識をもって課題設定し、見通しをもって調べ、その意味を考えながら、適切に学習を進めている。

○調べ学習の様子

清水少年が兵隊さんになりたい根拠を資料から、意欲的に調べているかを分析する。

 

 

 

○学習ノート

 課題に対する自分の考えと根拠となる資料について理路整然と記述されているかを分析する。

 

 

○課題追究の意欲を高めるために、戦争の悲惨さについて具体的に話し、「それなのになぜ清水少年は」という思いになれるようにする。

○祝福されて出征する兵士の写真資料を、戦地に赴くことが名誉なことだと教育されていた子どもたちの気持ちに共感できるよう効果的に活用する。

○清水少年が貧しい暮らしをしていた理由について、資料追究したことを意欲的に意見交流する中で、当時不利な戦況のため、物資が急速に不足しており、買いたくて買うものがなく、国民生活がかなり困窮していたことが理解できる。

○普通の家庭に育った清水少年が貧しい生活をしているわけについて予想する。

テキスト ボックス: ふつうの家庭に育った清水少年が毎日貧しい生活をしていたのはどうしてだろう 

 

 

 

 


○資料より、戦争末期には物資が不足し、物がなくなり、買いたくても買えない、手に入れることもできない状況にあったことを調べる

 

○調べたことをもとに、意見交流をおこない、仲間の考えから、自分の知識を確かなものにする。

○本時の学習のまとめ(食料や生活物資がかなり不足しており苦しい状況であった)と、自己評価をする。

 

 

 

<ア−A>

○清水少年の暮らしぶりについて、調べたことや考えたことを、意欲的に発表したり、仲間の意見を最後まで真剣に聞こうとしている。

<エ−A>

○清水少年の生き方を通して、当時の国民生活の厳しい状況を具体的に理解している。

 

 

 

○意見交流

 発言内容について、資料で調べた事実にもとづいて、当時の清水少年の暮らしぶりを自分の意見や感想も交えて意欲的に表現しようとしているかを分析する。

 

○学習ノ−ト

 日本がかなりの物資不足に陥っていたことが、清水少年のくらしに影響を与えていたことが理解されているかを分析する。

○収入の多少だけではなく、戦争のため物資が不足していたことや、国民がみな戦争のために我慢をしていたという視点で発言する子の良さを全体に広めるように意図的に価値付ける。

 

 

○国民生活の厳しい状況を理解するために、現代の生活と比べて具体的にどんな違いがあるのかを気付かせるような指導をおこなう。

 

 

○清水少年が「こんな苦しい生活はもういやだ」と言わなかった理由を考えることを通して、人間の心や願いまでをもゆがめてしまう戦争の恐ろしさに気付くことができる

テキスト ボックス: 清水少年が「こんな苦しい生活はもういやだ」という気持ちを一度も口に出して言わなかったのはどうしてだろう○困窮した生活なのに、清水少年は「苦しい生活はもういやだ」と一度も言わなかったわけについて予想する。

 

 

 

 

 

 

○資料より、戦争に勝つまではという気持ちや、みんながんばっているのにそんなことを言える雰囲気ではなかったこと、我慢するのが当たり前の世の中であったことを既習の資料や、今までの学習をもとに調べ、考える。

○考えたことをもとに意見交流する。

○清水さんから、「当時は現在からは想像できない特殊な状況にあった。人殺しだけでなく、人の心まで変えてしまう恐ろしい時代であった。そんな戦争は2度と繰り返してはならない。」という話を聞く。

○本時のまとめ「戦争という今では考えられない世の中であった。2度と恐ろしい戦争はおこしてはならない」と、自己評価をする。

 

 

 

<イ−B>

○当時の日本国民がおかれた状況を、戦争を体験した人の生き方から把握し、そうなった根拠を広い視野から考え、判断している。

 

 

<ウ−B>

○清水少年が「こんな生活はもういやだ」と一度も口に出して言わなかったことについて調べた内容を、ノートにまとめたり、根拠のある発言をして、お互いが高まりあえるように表現している。

 

 

 

 

○学習ノート

・課題追究のために様々な資料を使い、以下のポイントで記述されているかを分析する。

 ・戦争に勝つまではという意識

 ・そんなことを言えない社会の状況

○意見交流

 例えば「がまんしている」「不平など言えない社会状況」等の発言の根拠として、どんな事実をもとにして自分なりの考えをまとめているのかという観点から発言内容をつかむ。

○事象と事象との矛盾から、課題を設定できるようにする。

○当時の生活の様子を足場にして考えていくよう、これまで活用した資料のどこに目を向けるとよいのか、個に応じた助言を行う。

 

 

 

○その子なりの見方や考え方を価値付けてやったり、一人一人の発言の根拠を明確にして、互いの見方や考え方の共通点や相違点を明らかにし、一人一人の見方や考え方がより深まるよう指導する。

○学習したことをもとに、戦争に対する考えや、自分や日本の将来に対する考えをもつことができる。

○前時のまとめを交流する。

○前時までの学習を振り返り、学習のまとめをおこなう。

テキスト ボックス: 戦争についての学習を振り返り、これからの日本や自分について考えよう 

 

 

 

 


○この単元で分かったことや、戦争をおこさないために、これからの自分や日本はどうあるべきかノートにまとめる。

○自分と仲間の考えを比較しながら、意見交流をおこなう。

 

○自己評価表に単元のまとめの評価をおこなう。

 

 

<ア−B>

○学習したことをもとに将来の日本や自分の生き方について具体的に考えていこうとしている。

 

 

○学習ノート

 学習したことをもとに、戦争を起こさないために以下のポイントで記述しているかを分析する

・戦争の恐ろしさについての根拠がある。

・戦争は、二度と起こしてはならないものだというとらえがある。

・戦争が起きないように、自分は将来どうすればよいかという視点がある。

 

 

○戦争当時と現在の自分の生活状況をもう一度比較させ、その中で自分のこれからの生き方について展望できるよう指導する。

○「戦争の恐ろしさ」「戦争への怒り」「自分の生き方についての展望」という三つの観点から発言の良さを価値付けて広めるようにする。

 

 


4 単位時間の授業展開例

(1)本時のねらい

・清水少年が「こんな苦しい生活はもういやだ」と言わなかった理由を考えることを通して、人間の心や願いまでをもゆがめてしまう戦争の恐ろしさに気付くことができる。

(2)本時の位置  

6/7時

(3)展開案

過程

学 習 活 動

評価について

指導・援助

 

 

 

 

つかむ

 

 

 

 

 

追究する

 

ふかめる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめる

○清水少年の言葉から子どもに意識のずれを起こさせる。

・こんなに苦しい生活なのに「こんな苦しい生活はもういやだ」と一度も言わなかったのはなぜか。

○本時の課題を設定する。

テキスト ボックス: 清水少年が「こんな苦しい生活はもういやだ」という気持ちを一度も口に出して言わなかったのはどうしてだろう 

 

 

 


○課題に対してその根拠を予想させる。

・みんなが同じ状況であったから。

・言えなかったのかもしれない。

○前時までで使用した資料や学習内容から課題追究を行う。

・今日は今まで課題解決に使用した資料や学習した内容から考えてみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○調べたことをもとに意見交流する。

・当時は日本の厳しい状態が国民に正確に知らされていなかったので、国民のほとんどが、苦しい生活の中でも日本はきっと勝つと信じていた。だから、清水少年も、「勝つまではがんばる。勝てばこんな生活はもうしなくてよい」と考えていたと思う。

・当時の標語から、世の中全体が勝利に向かって突き進んでいる中で、「こんな苦しい生活はいやだ」なんて弱音が言える雰囲気ではなかったと思う。

・もし「こんな苦しい生活はいやだ」という気持ちを口に出して言ったら、家族や地域・学校のみんなからなんて非難されるか分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○清水さんの話を聞き、自分や仲間の考えを確かなものにする。

・「当時私がいやだと言わなかったわけは、みなさんが考えて下さったことと同じです。当時は戦争という特別な状況の中で、今の平和な世の中と全く違う異常な雰囲気であったと思います。戦争というと、たくさんの人が死んだり殺されたりする恐ろしさがあると思いますが、『国のために喜んで死ぬ』とか『多くの敵を殺すことが立派だ』といった人の心まで変えてしまう恐ろしさがあると思います。人の命だけでなく人の心まで奪ってしまう戦争は絶対に繰り返してはいけません。」

○本時のまとめと自己評価をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<イ−B>

◎当時の日本国民のおかれた状況を、戦争を体験した人の生き方から把握し、そうなった根拠を広い視野から考え、判断している。

○学習ノート

・課題追究のために既習の様々な資料を使い、以下のポイントで記述されているかを分析する。

・戦争に勝つまではという意識

・そんなことを言えない状況

<ウ−B>

◎清水少年が「こんな生活はもういやだ」と一度も口に出して言わなかったことについて調べた内容を、ノートにまとめたり、根拠のある発言をして、お互いが高まりあえるように表現している。

○意見交流

・事実をとらえている。

・事実にもとづいて自分の考えを分かりやく表現している。

○清水少年の生活がとても質素であったという事実と、それに対して一度も不平を口に出さなかったという二つの事象の矛盾を鮮明に提示する。

 

○自分の考えが既習事項のどの資料にもとづいた考えなのかを明確にできるよう助言する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○その子なりの見方や考え方を価値付けてやったり、一人一人の発言の根拠を明確にして、互いの見方や考え方の共通点や相違点を明らかにし、一人一人の見方や考え方がより深められるよう話し合いを組織化していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○自分の考えたことと比較しながら、清水さんの話を聞き、戦争の恐ろしさとは一体何なのかということを改めて問い直すよう指導する。

 

 

 


 

5 評価の実際と個に応じた指導事例

 本時の評価と、個に応じた指導の事例を以下のようにまとめた。

「学習活動における具体の評価規準に照らして、「十分満足できる」状況(A)を実現していると判断した児童の具体的な状況例、及び「努力を要する」状況(C)と判断した児童がいる場合の指導の具体的な手立てを示している。

 授業展開の中で、「学習活動における具体の評価規準」に照らして、個の学習状況を把握することに努める。その際、「努力を要する」状況と判断した児童に対して、学習状況に応じた指導の手立てを講じて、基礎的・基本的な内容の確実な定着を図る。それと合わせて、「十分満足できる」状況と判断できる児童の姿が実現されることをめざして、指導・援助に努めていく。

 

本時(6/7時)の事例

学習活動における具体の評価規準

「十分満足できる」状況(A)を実現していると判断した児童の具体的な状況例

「努力を要する」状況(C)と判断した児童への指導の手立て

【社会的な思考・判断】

<イ−B>

○当時の日本の国民がおかれた状況を、戦争を体験した人の生き方から把握し、そうなった根拠を広い視野から考え、判断している。

発言の内容やノ−トへの記述の

分析から

○戦争を遂行するための国家の体制が国民の生活に大きく影響して、とても不平など言える状況でなかったという戦争のもつ全体主義的な恐ろしさにつなげて、自分なりの表現でとらえて考えている。

○いくつかの資料を根拠とし、当時の清水少年の心情面を多面的にとらえ、当時の社会状況をつないで判断している。

・何を調べればよいか、どのようにして調べのるかなど、学習の見通しがもてない児童に対しては、これまで学習してきたことをもう一度振り返らせ、当時の国民生活がどういう状況であったかをつかみ取れるよう丹念に個別指導を繰り返す。

・自分の思いだけにかたよって心情面だけで考えている児童に対しては、どの事実とつなげるとそのように考えられるのかという助言をし、根拠を明らかにして考えられるようにする。

【資料活用の技能・表現】

<ウ−B>

○清水少年が「こんな生活はもういやだ」という気持ちを一度も口に出して言わなかったことについて調べた内容を、ノートにまとめたり、根拠のある発言をして、お互いが高まりあえるように表現している

発言の内容やノ−トへの記述の

分析から

○当時の国民の生活ぶりを示す資料や、清水少年の日記や学校での学習内容などをつないで、当時の清水少年の思いについて、具体的な根拠をわかりやすく示して発言している。

○自分の考えと仲間の考えの共通点や相違点に気付き、仲間の考えと関わらせて、自分の考えをより深めて表現している。

・発言の仕方に自信がもてない児童については、まず根拠を述べて、次にそこから考えたことを発言するように発言の仕方を個別に指導して自信を持たせるようにする。

・文章資料などの理解が苦手な児童については、当時の標語やスロ−ガンからわかることをまとめるよう助言し、写真等の視覚資料をつないでイメ−ジできるよう指導する。