【総合的な学習の時間チェックポイント】

 「総合的な学習の時間」プロジェクト研究部会

このチェックポイントは,岐阜県総合教育センターの「総合的な学習の時間」プロジェクト研究部会で,「総合的な学習の時間」を考える際,大切にしていきたいこととして掲げてきたことです。

 自分の学校の取組をチェックしてみましょう。

 

【10のチェックポイント】

1.  校内に推進組織がありますか。

2.  学校として「総合的な学習の時間」の目標がありますか。

3.  問題解決的な過程を踏まえて計画されていますか。

4.  体験的な学習を積極的に取り入れていますか。

5.  児童生徒が自分の問題として感じられる課題になっていますか。

6.  児童生徒に課題解決の見通しがありますか。

7.  児童生徒どうしの交流,学び合いがありますか。

8.  地域教材・人材の活用,学校図書館,コンピュータの活用場面が位置付けられていますか。

9.  自分のよさに気付く評価がなされていますか。

10. 学校全体の指導計画が作成されていますか。

 

 

1 校内に推進組織がありますか。

 

【ポイント】

   推進組織と実践組織を位置付ける。

   推進組織は,情報収集,教職員に対する啓発,開発した単元の検討を行う。

   小学校―学年代表の会を推進組織にする。

   中学校―教科代表者会を推進組織にする。

   高等学校―新たな委員会を組織する。

   実践組織は,学級,学年単位で動きやすく,開発,見直しが自由にできる組織にする。

 

実践組織としては,各学級,学年が中心となると思いますが,それらの活動を集約したり,情報を提供したりする全校の推進組織が必要です。推進組織の構成員としては,学校長,教頭,教務,研究主任の他,小学校は各学年代表,中学校は各教科代表が入るとよいと思います。研究推進委員会や運営委員会が推進組織を兼ねることもできます。また,高等学校では,新たな委員会組織を設けることが必要になると思われます。

総合的な学習の時間は,各学校において具体的な目標や学習内容を定め,学校や児童生徒の実態に応じた特色ある教育活動を展開する時間ですから,実践組織がそれぞれに開発した単元を,何の検討もなしにその学校の総合的な学習の時間として位置付けてしまうことは,学校の責任として問題があります。学年間が関連性に乏しい総合的な学習の時間にならないよう,学校としての方向を明確にし,計画的に,校長のリーダーシップの下,教職員間の共通理解を図り,一体となって取り組むことが不可欠です。

そのために,実践中や実践終了後には,学年の教師が集まって,「児童生徒の見方,考え方,学び方等の変化はあったのか。」「児童生徒は,ねらいとした方向に進んでいたのか。」等,評価をし合い,改善を加えるなど,学校としての検討を行い,次年度へ引き継ぐことが大切です。

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2 学校として「総合的な学習の時間」の目標がありますか。

 

【ポイント】

   学校や地域の実態把握がスタートである。

·         児童生徒の実態(問題解決能力,学び方,生活経験,興味・関心の対象など)

·         地域の特性(施設,地域人材・組織,文化財等,自然,イベント,企業)

·         各学校の今までの研究成果

·         人材としての教職員のよさ

·         保護者,地域の人の願い

   学校として育てたい資質や能力を具体化し,共通理解する。

 

「総合的な学習の時間」は,学習指導要領にあるねらいにふさわしい学習活動を各学校が創意工夫して展開することを,時間の面から保障したものです。ですから,この時間は,学校に与えられたものであって,教師個人の趣味や児童生徒の興味・関心のレベルで終わってはいけません。「総合的な学習の時間」が創設された趣旨を踏まえるとともに,児童生徒の実態,地域の実態,保護者・地域の人々の願い,学校の教育目標や学校課題を考え合わせ,学校としてどのような資質や能力を育てたいのかを明確にすることです。また,各教科,領域との関連を考え,教育課程全体から考えて,「総合的な学習の時間」を位置付けていくことが必要です。

「児童生徒の学習と教育課程の実施状況の評価の在り方」(平成12年12月4日教育課程審議会答申)の「総合的な学習の時間」の評価については,「学習活動」を記述した上で,指導の目標や内容に基づいて定めた「観点」を記載し,その観点ごとに児童生徒にどのような力が付いたかを文章で記述する「評価」の欄を設けることが適当であるとされています。評価が,「A子は目を輝かせて活動に取り組んだ。」といった,情緒的な記述ではなく,資質や能力の面からの評価になることを目指しているのです。指導要録の「観点」に当たるものが,各学校の「総合的な学習の時間」で育てたい資質や能力になります。

教科のように,学習指導要領に内容が明確に示されているものと違って,「総合的な学習の時間」で行う内容は学校に任せられています。ですから,「どのような活動や体験をさせようか。」「どんな内容を取り上げようか。」ということに目が行きがちになります。しかし,目標の達成にふさわしいものが内容として選ばれるのであって,その内容がよかったのかどうかは,目標に照らして評価がなされるのです。

今後,いろいろなテーマの単元が実践され,そのバリエーションは増えていきますが,それが,その学校にふさわしいかどうかは,各学校が「総合的な学習の時間」で付けたい資質や能力が育ったかどうかで判断することになるのです。

 

〈参考〉   児童生徒の学習と教育課程の実施状況の評価の在り方について

       (教育課程審議会 平成12年12月4日 答申)

第2章 指導要録の取扱い

3 小・中学校の指導要録

(7)「総合的な学習の時間」の評価
 ア 「総合的な学習の時間」については,各学校において学習活動を定め,学校や児童生徒の実態に応じた特色ある教育活動が展開される。このような趣旨から,学習の状況や成果などについて,児童生徒のよい点,学習に対する意欲や態度,進歩の状況などを踏まえて評価することが適当であり,数値的な評価をすることは適当ではない。
 イ また「総合的な学習の時間」は,横断的・総合的な課題などについて,体験的な学習,問題解決的な学習を取り入れ,各教科等で身に付けた知識や技能を相互に関連付け,総合的に働かせることをねらいとしており,それを通じて,自ら学び,自ら考える力や学び方,ものの考え方などの確かな育成に資するよう,評価に当たっては,各教科の学習の評価と同様,観点別学習状況の評価を基本とすることが必要である。
 この時間の学習活動の展開に当たっては,学習指導要領に示された二つのねらい(@自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育てること,A学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにすること)などを踏まえ,各学校において具体的な目標,内容を定めて指導を行うことが必要である。そして,その目標,内容に基づき,観点を定めて評価を行うことが必要である。
 ウ 以上の点を踏まえ,「総合的な学習の時間」の評価については,この時間において行った「学習活動」を記述した上で,指導の目標や内容に基づいて定めた「観点」を記載し,それらの「観点」のうち,児童生徒の学習状況に顕著な事項がある場合などにその特徴を記載するなど,児童生徒にどのような力が身に付いたかを文章で記述する「評価」の欄を設けることが適当である。
 「観点」については,各学校において,指導の目標や内容に基づいて定めることとなるが,例えば,学習指導要領に定められた「総合的な学習の時間」のねらいを踏まえ,「課題設定の能力」「問題解決の能力」「学び方,ものの考え方」「学習への主体的,創造的な態度」「自己の生き方」というような観点を定めたり,教科との関連を明確にして,「学習活動への関心・意欲・態度」「総合的な思考・判断」「学習活動にかかわる技能・表現」「知識を応用し総合する能力」などの観点を定めたり,あるいは,各学校の定める目標,内容に基づき,例えば,「コミュニケーション能力」「情報活用能力」などの観点を定めたりすることなどが考えられる。

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3 問題解決的な過程を踏まえて計画されていますか。

【ポイント】

   問題解決の過程で,調査,情報収集,分類・整理などの学び方を指導する。

   問題解決的な過程を踏まえ,段階的に指導する。

 

「課題に出会う 課題を決める 課題を追究する まとめ,発表する」が現在行われている問題解決的な過程だと思います。こうした過程を通して,児童生徒が実際に問題を解決していく経験をします。同時に調査,情報収集,分類・整理などの学び方も意図的に身に付けていかなければなりません。例えば,収集した情報に小見出しをつけてカード化し,目的から必要なカードを分類し,並び替えて,分かりやすい構成を考えるなど,情報を収集し,分類・整理し,情報を創り,情報を伝えていく力をつけていくことです。こうした学び方は,教科の学習でも指導されることです。そのことが指導されないと,「課題について関係あるところを図書館の本から抜き出し,それを読む」ことに終わってしまいます。問題解決的な過程を踏まえることが最優先され,「調べて,発表する」ことに終わらないようにしたいものです。

また,児童生徒が「課題を解決したい」,そのために「調べたい」,自信をもって「伝えたい」という気持ち,意欲をもてるように,教師が段階的に手だてを講じることが必要です。

例えば,小学校3年生においては,「自ら課題を見付け」ということは,難しい場合があります。小学校・中学校・高等学校を通して,自分で課題を見付けることができるようにするのですから,初段階では,共通体験の場を設定し教師の指導・援助のもとで,学級全体で調べてみたいことをいくつか見付け出し,その中から選択してもよいと思います。選択した課題を解決していく過程を通して,徐々に,課題を見付けることができるようにしていくのです。

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4 体験的な学習を積極的に取り入れていますか。

【ポイント】

   目的に応じた体験学習を仕組む。

   児童生徒の思いや考えをとらえ,単元を構想する。

 

「総合的な学習の時間」では,自然体験やボランティア活動などの社会体験,観察・実験,見学や調査,発表や討論,ものづくりや生産活動など体験的な学習を積極的に取り入れることが求められています。それは,児童生徒が,具体的な体験や事物・現象にかかわることによって,様々なことを考え,学び,そこで得た知識や考えを基にして実生活の様々な課題への取組みを通じて,自己を高め,よりよい生活を創り出していくことができるからです。

ですから,今まで行ってきた体験学習を「総合的な学習の時間」と関わらせていくことはできます。しかし,体験学習がそのまま「総合的な学習の時間」ではありません。体験をすることによって児童生徒のものの見方や考え方が深まることもありますが,「総合的な学習の時間」のねらい「自ら課題をとらえ,自ら考え,自ら解決していく」という点で弱さがあります。今後,質の高い体験をさせるためには,児童生徒が五官や五感を十分に働かせることができる体験学習,児童生徒に生まれる思いや考えをとらえ,次の活動につないでいく体験学習を進めていくことです。

また,体験学習は,次のように,目的に応じて行うことが必要です。

@        課題に出会うための体験活動

A        課題を決めるための体験活動

B        課題を追究するための体験活動

C        課題を解決するための体験活動

このように,目的に応じた体験活動を行いながら,児童生徒がどう感じたかを必ずとらえて,児童生徒が自己の生き方にかかわらせ,実感をともなった問題解決的な学習になるように教師が単元を構想することが求められます。

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5 児童生徒が自分の問題として感じられる課題になっていますか。

【ポイント】

   学年発達に応じた課題づくりになっていますか。

   自分の課題となるまで時間の確保と指導がなされていますか。

 

「自ら課題を見付け」は,小学校・中学校・高等学校の学習指導要領のねらいにあります。この「自ら課題を見付け」は,小学校・中学校・高等学校12年間を通してできるようにするという目的であり,前述のポイント3のように,様々な課題から選択することを含め,段階的に指導することが必要です。初期段階ならば,教師が提示した課題に興味・関心をもつこともあるでしょう。その課題を解決したいと思えば,それは自分の課題となるのです。

例えば,現実と理想のギャップに出会わせる体験をさせたり,フィールドワークで見付けたことを交流させたりする中から,課題の種となることを児童生徒の前に提示することからスタートします。その体験を踏まえ,問題を発見していく過程や,発見した課題を自分自身で解決すべき課題として高めていく過程が大切です。つまり,児童生徒が主体的に問題解決に向かうために,児童生徒が「自分の課題」と感じるようにする過程が必要なのです。

課題設定には,次のような方法があります。

   共通体験から児童生徒の願いや思いを導き出し,学級テーマを設定するとともに,同じ,または似ている課題同士でグループに分ける。

   環境,福祉といった学校テーマを受けての共通体験から課題をもち,ウェビングなどによって,同じ,または似ている課題どうしでグループに分ける。

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6 児童生徒に課題解決の見通しがありますか。

【ポイント】

   相手,目的,方法などを明確にもたせる。

   単元の最後でどのようなことができればよいか具体化する。

 

「だれ(相手)に対して(相手),何(目的)のために活動するのか」,「活動していく上で方法が適切なのか」などを児童生徒に明確にもたせることによって,また,単元の最後での姿を教師が具体化することによって,児童生徒は主体的に取り組み,充実感をもつことができます。

例えば,学級テーマを「人々にとって住みよい街づくり」としたとしましょう。これだけでは,まだ,児童生徒が何を行っていくのかわかりません。これを,各自の課題から,「高齢者の方々にとって住みよい街づくりを多くの人にWebページで知らせよう。」「小さい子ども達にとって住みよい街づくりを村議会で議員の人に提案しよう。」などとすると,単元の最後の姿がはっきりします。その際,発表の聞き手が知りたい内容や,社会に役立つ内容だと,もっとよいと思います。

また,体験によって生まれるいろいろなキーワードがあります。それに,疑問符をつければ,一応課題となりますが,調べて終わってしまわないように,「いかにして,どのように」が入る課題にしていきます。「鵜飼?」というキーワードと「小瀬の鵜飼」「長良川の鵜飼」「観光」というキーワードをつなぐと,「長良川の鵜飼と小瀬の鵜飼とはどのように違うのだろうか。」「長良川の鵜飼にはない小瀬の鵜飼のよさを観光客にパンフレットで知らせよう。観光課の人に提案しよう。」など具体的な課題になります。

こうして発表した後,聞き手からいろいろな反応や評価がもらえると思います。それによって,児童生徒は今までの課題解決の過程を振り返り,有能観,充実感をもつようになるのです。

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7 児童生徒どうしの交流,学び合いがありますか。

【ポイント】

   児童生徒が交流会の目的を明確にして参加できるようにする。

 

児童生徒は自分の課題で学んでいますから,他の子とは違う情報をもっています。学習している内容が違っていることは,「総合的な学習の時間」ならではのことです。その情報を交流することによって,自分の調べた内容に付け加えたり,自分の調べ方を変えたりすることが期待されます。

そのためには,交流することに必然性が必要です。特に,交流に何を期待しているのかといった,聞く側のニーズに応えることが求められます。調べた内容の交流をして内容を深めたいのか,調べ方,発表の仕方など方法の交流をして,新たに調べていきたいのかといった,交流会,発表会の目的を明確にすることです。このような交流会や中間発表会の場を設定し,お互いに意見を交流したりすることのほか,それまで集めた情報を掲示したり,資料室を作って児童生徒の作品を展示することも出てくるでしょう。こうした前学年の取組から生まれた作品も,児童生徒にとっては,学び合いの材料になります。

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8 地域教材・人材の活用,学校図書館,コンピュータの活用場面が位置付けられていますか。

【ポイント】

   地域との連携,学習環境の整備と積極的な活用がなされるようにする。

 

児童生徒が学習を進めていく際に必要とされる環境を整備すること,またその活用を積極的に図っていくことは大切です。

生活科で地域教材・人材マップなどを作成した経験があるのではないでしょうか。中学校でも職場体験などでお世話になっている人がいるのではないでしょうか。そういった人に加えて,学校として公募をしたり,紹介してもらったりして,地域の人材を確保しましょう。市町村教育委員会で人材バンクが作成されると,学校どうしの調整ができて,さらに効果的です。

しかし,課題が多様化し,児童生徒の要求に応えようとすると,学校の教員だけではできないことも出てきます。そういったときは,地域の人に事情を説明し,地域の人に頼ることです。地域の人と共同で学習することによって,学校に対する理解と信頼を得ることにもつながります。

課題について調べようとすれば,まず学校図書館がスタートになるでしょう。今後,学校図書館は,学習・情報センターとしての意味合いが強くなり,図書資料だけでなく,CD,ビデオなどのメディアやコンピュータが配置されるようになります。特に,コンピュータは,調べる道具だけでなく,他とコミュニケーションをとったり,発表したりする道具ともなりえます。そういったことを踏まえて,必要に応じてコンピュータの活用場面を位置付けていくことが必要です。

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9 自分のよさに気付く評価がなされていますか。

【ポイント】

   児童生徒の学びを見る教師の目を鍛える。

   意図的,継続的に評価を行う。

 

「総合的な学習の時間」には,到達度評価はなじまないと言われます。しかし,到達度は設定しなくとも,児童生徒が自分の問題解決の過程における態度や能力のよさを自覚できるようにする評価が必要です。今までも,児童生徒の活動の姿を見て,「すばらしいな」「成長しているな」「ほめてあげたいな」と思うことがあったと思います。その姿をとらえ,声をかけて評価することです。そのためには,教師の児童生徒を見る目を磨くことが必要です。児童生徒が何に興味・関心をもち,どのような過程を通って学習を進め,どう変容しているのか見極めることです。そして,意図的,継続的に評価(=指導)をしていくのです。

しかし,すべての児童生徒の姿を授業時間中に評価することは不可能ですから,学習の過程で生まれた資料,作品など,児童生徒の思いや願いが分かるものを通して,その子の学んだ内容や方法を見ていくことが必要です。その際,教師が評価するだけでなく,その評価を児童生徒に託す自己評価も大切にしたいものです。また,自己評価を補完する教師の評価,友達の評価,親の評価を継続的に残し,児童生徒が自分の歩みを振り返る場を設けることにより,多くの人の評価を得て,自分の生き方を見直すことがことができるようになります。児童生徒の活動の様子や作品などから,その学んだ内容や方法を認める評価をするということです。

ただし,個人内評価ばかりになると,児童生徒の学びが停滞し,「活動あって指導なし」に陥ることになります。教師は,児童生徒を一人の人間として認め,評価することに加え,そういった児童生徒の学んだ内容や方法が設定したテーマからの見方,考え方に迫っているのか評価することも必要です。これは,学習を方向づける評価です。

例えば,福祉をテーマとした場合,「障害や年齢によって違いはあっても人間として同じである。違いがあっても,共に生きることができる社会になるよう,自分のできることをやっていこう。」といった認識に立ってほしいという願いはあるはずです。同じような内容について調べていても,児童生徒の見方・考え方には違いがあります。見方・考え方が狭い児童生徒に対して,仲間の見方・考え方と比較させるなど,意図的な指導は必要です。

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10 学校全体の指導計画が作成されていますか。

【ポイント】

   学校の「総合的な学習の時間」の目標にかなう計画であるか吟味する。

    学校の重点を明確にして,スコープ(内容・領域)とシークェンス(順序)を考える。

 

1から9までのことを踏まえて,全体計画が作成されるわけです。しかし,最初から年間指導計画が作成されるわけではありません。1時間の指導計画のレベルや単元指導計画のレベルなど,カリキュラムの作成には,様々なレベルがありますが,どこからスタートするのかは,決まっていませんので,「PLAN⇒DO⇒SEE」で,行きつ戻りつしながら,あるいは繰り返しながら改善していくことになります。

その際,2で述べたような,学校として「総合的な学習の時間」の目標に照らして有効な学習であったと評価された場合,学校のカリキュラムとして位置付けられることになります。また,そういった単元づくりが行われるのと同時に,学年の発達段階に即して,育てたい力や学習内容の系統性を考えていくのです。つまり,「学校全体として何に重点を置くのか」を明確にもち,カリキュラム作成に当たっては,スコープ(どんな内容・領域を組み込むのか)とシークェンス(内容をどう配列・構成するか)を考えていくのです。

こうして生み出された学校としての計画が提示されてこそ,地域に対して説明することができますし,協力を求めることができます。しかし,計画には柔軟性が必要です。無理に計画通りに進めようとすると,児童生徒の主体性がうばわれる可能性もあります。また,毎年,同じ計画どおりに進むのではなく,児童生徒の興味・関心や実態から変更していくことも必要です。児童生徒の選択に任せる部分と教師が設定した部分とを,児童生徒の学んだ内容と方法を見ながら,バランスをとって進めていくことです。

また,小学校は中学校と,中学校は小学校と,また,高等学校と中学校とも,互いに連絡をとって,学習する内容や方法が同じにならないようにすることも,地域で児童生徒を育てる上で大切です。

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