高校生部門

最優秀賞

自然数を1から順に左から右へと無限に並べていく。次に,「左右隣り合った2項の和を,その2項の間の下に記す」という作業を繰り返して,項を無数に並べていく。上からx段目,左からy項目に書かれている項をP(x,y)と表すことにする。このとき,P(x,y)を一般的に表現してみよう。

ここで,項の記し方の定義は,P(x+1,y)=P(x,y)+P(x,y+1)(x≧1)と表せる。以下,一般的に,P(1,y)=ay とする。

(1) P(4,y)をay,ay+1,ay+2,ay+3を用いて表せ。

 (2) (1)などを参考にすれば,P(x,y)=と表せると推測できる。

    A,Bを適切に埋めよ。

 (3) (2)の推測を,数学的帰納法によって証明せよ。

以下,ayyとする。

 (4) nを任意の偶数とすれば,P(n,1)=となる。Cには定数,D, E には文字を含む式を適切に埋めよ。

 (5) P(10,1)を求めよ。

(略解)(1)  P(4,y)=ay+3ay+1+3ay+2+ay+3

                                (2) A:x−1Ck−1  B:y+k−1             

                                (3) 略                   

                                (4) C:1  D:  E:n−1Ck          

                                                                                                                     (5) 2816

<作品講評>

n階差数列に着目した,面白く奥行きのある問題である。問題の解決過程において二項係数が現れるなど既習事項を活用していること、問題文および解答が十分に練られ完成度の高いことなどを評価した。

 優秀賞

ここに0〜9の整数が1つずつ書かれたカードが5枚ある。ただし,どの数も2回以上は使われていない。この5枚の中から2枚選び,2桁の数をつくると,16通りの数ができる。このようにしてできる数で最大である数,2番目に大きい数,最小である数,2番目に小さい数をそれぞれM,M,m,mとすると,

 M+m=M+m  ,M+m≦100

である。このようになる5枚のカードの組合せは何通りあるだろうか。

(略解)7通り 

<作品講評>

問題のレベルは易しいが、最大・最小の 「1番目」だけではなく「2番目」も考えたところに独創性がある。また、きちんと解けるように問題が設定されている点も評価した。

奨励賞

1〜4までの目が1つずつ書かれた正四面体のさいころAと,何も書かれていない立方体の木片Bがある。Aを6回ふって出た目6つをBの6面に書き,Bを完成させると,1〜4のどの数字も少なくとも1つは入っており,このとき,Bをふって出る目の期待値はであった。Aを6回ふって、このようになる確率を求めよ。ただし,A,Bとも,それぞれの面が出る確率は同様に確からしいものとする。

(略解)

<作品講評>

与えられた期待値から確率分布を求めている点、操作が2段階になっている点が独創的である。また、2つの操作のつながりが自然であるように問題が設定されている点を評価した。