「頭声的発声」から「自然で無理のない声」へ
【頭声的発声】について
戦後まもなく,故品川三郎氏が男子発声の場合の指導法として発表した。
昭和33年,文部省は子供らしいのびのびした声,また,美しく柔らかい自然な発声を目指して,この用語を学習指導要領に取り入れた。
「高音の発声の要領を活用し,中音域,低音域(胸声区)の美しい発声を指導する。
頭声が完成するまで音量が小さく,弱々しいという欠点があるので,共鳴を工夫することによって補う。
硬口蓋と軟口蓋の中央部に焦点を作り,鼻腔の共鳴も加えた軟らかな発声」(昭和35年小学校指導書)
(*頭声発声は「弱声発声〜美しいが線が弱く,ひ弱な声」と誤解される面があったため,明るい響きのある(共鳴)ということで「的」をつけて示された。
頭声ばかりでなく胸声も使っていくことが子供の歌唱表現を生き生きとさせることにつながるという面もあるため)
発声指導については,頭声的発声を中心とするが,楽曲によっては,曲想に応じた発声の仕方を工夫するようにすること。
(平成元年小学校指導書P99〜100)
(*楽曲によっては,その曲想に応じた表現をするため,他の発声の仕方を取り入れることがより適切な場合もある。)

【川上彌榮子氏による12項目】
1 歌いやすい声 話し声もいい声にして
2 高い音も低い音も出しやすい声 響きを変えないで
3 共鳴した声 からだに響く声
4 ハーモニーする声
5 曲にふさわしい声 遊び歌とは異なる
6 子供らしく明るい声,軽い声
7 からだで歌う声 正しい姿勢からでる声 全身を使った声
8 声帯や胸などが疲れない歌い方の声
9 歌って満足感を覚える声 わめいてでなく
10 聴く人を疲れさせない声
11 聴く人に心地よい響き,心や耳に残る歌声 音楽性を求めて
12 みんなの声に溶け合う声 伴奏と合っている声

【鎌田典三郎氏の「子供たちに求めたい声」】
・澄んでいて明るい声
・素直で柔らかい声
・生き生きとしてつやのある声
・ひびきのある声
・低音域を,どならない声
・高音域が楽に出せる声
・曲の感じを,充分に表現できる声

【渡辺陸雄氏の説明】
「子供それぞれの音域に合った,もっとも出しやすい声を共鳴点に当てて,美しい声を発見して歌う。」