[岐阜県教育センター研究紀要(国語科)]
                                [更新日:2000/3/3]
1 主題設定の理由
2 研究の仮説
3 研究の内容
4 研究の実践
5 研究のまとめ

教科教育研究 「社会の変化に対応できる資質や能力を育てる
                    教科指導に関する研究」

研究主題

[国語科/「豊かな読みの力」そだてるを指導]

(高等学校)3年計画 完結年次

<研究の概要>
 本研究のねらいは,文学作品に対する「豊かな読みの力」を育てる指導の在り方を,授業実践を通して究明することにある。まず,国語に関する意識調査を行い,生徒の読みに対する意識を明らかにするとともに,「豊かな読みの力」とは何かを考えた。次に,「豊かな読みの力」を育てるため,一人一人が主体的に参加できる学習形態と評価の在り方を工夫し,さらに自己の読みを深める手立てとして表現活動と生徒同士の交流活動を取り入れた。

<キーワード>
国語 読解指導 グループ学習 表現活動 文学教材

1 研究主題設定の理由

 近年,社会が大変便利で豊かになり,情報化が急速に進んできている。しかし一方で,子供たちの活字離れ・読書離れが進行し,同時に相手の気持ちを理解したり,自分の気持ちを的確に表現したりすることが苦手になってきている。また,人間関係の希薄化が進み,心の問題が深刻化するという現象も起きている。
 こうした社会の変化に対応するためには,文学作品を題材に「豊かな読みの力」を育てることが重要な課題の一つであると考えた。文学作品は多様な人間の生き方・考え方の宝庫であり,読む人の心を豊かにし,思考の幅を広げてくれる。情景や心情を生き生きと想像する力を養ってくれる。また,読む人に本のおもしろさを知らせ,読書意欲を喚起してくれる。このような文学作品を題材に「豊かな読みの力」を育てることができれば,子供たちの読書離れ・活字離れの傾向をくい止めることができるだろう。また,他人の気持ちを想像する力を養っていくこともできるだろう。(「豊かな読みの力」の内容については「4研究の実践」の(2)のアでふれた。)
 以上のことから,本研究では文学作品を題材に,「豊かな読みの力」を育てる指導の在り方について考えた。
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2 研究の仮説

 「豊かな読みの力」とは何かを解明した上で,学習形態と評価を工夫し,単元の学習指導計画の中に表現活動と読みの交流を取り入れれば,生徒一人一人に文学作品に対する豊かな読みの力を育成することができる。
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3 研究の内容と方法

(1) 研究内容
 @ 国語の学習に対する生徒の意識の研究
 A 「豊かな読みの力」と,それを育てるための学習指導計画の在り方の研究
 B 生徒が主体的に参加できるようなグループ学習の在り方と,評価法の研究
 C 読みを深めるための表現活動の在り方の研究
 D 他の生徒と読みの交流を行うことができる学習過程の在り方の研究

(2) 研究方法
 高等学校の生徒を対象に,国語の学習に関する調査を実施する。同時に「豊かな読みの力」を明らかにするため文献研究等を行う。さらに,研究仮説を立て,それに基づいて研究協力員3名(高等学校3校)が授業実践を行い,アンケートや表現活動による作品分析などから仮説の検証を行う。
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4 研究の実践

(1) 研究内容@「国語の学習に対する生徒の意識について」

平成9年度に,高校生782名に対して意識調査を実施したところ,国語の学習を「余り好きでない」「嫌いだ」と感じる生徒が6割いた。授業に対する不満としては,「授業の流れがつまらない授業」を4割の生徒があげ,最も多かった。
 読みの学習については9割の生徒が「必要」「とても必要」と感じ,その学習の目的としては「文章の描写を味わい,論理が的確に把握できる」(37.1%)「作品の内容が分かる」(30.9%)「自分なりの文章の読み方ができる」(20.6%)をあげた生徒が多かった(図表1)。生徒が読みの学習に求めているものは,いわゆる読解力,そして豊かで個性的な読みの力の習得であると考えられる。
 
@文章の描写を味わい,論理が的確に把握できる。
A作品の内容が分かる。
B自分なりの文章の読み方ができる。
C他のいろいろな本が読めるようになる。
Dその他






(2) 研究内容A「『豊かな読みの力』と学習指導計画の在り方について」

ア 「豊かな読みの力」について
 文学作品を「読む」とはどういう行為だろうか。これについては田近洵一氏の定義が参考になる。
(ア) 意味を発見する(意味形成行為)
 ことばをとらえ,人物の言動や事件の展開などの持つ意味を追究する。
(イ) イメージを描く(イメージ生成行為)
人物や事件の様子,及び人物の内面を想像する。
(ウ) 反応批評する(享受反応批評行為)
人物や事件などについて,作品の内と外の視点から感想を持つ。

 この定義から考えると,「豊かな読みの力」は以下の3点になるだろう。(ア)については「人物の言動や事件の展開の持つ意味などを深くとらえる力」であり,(イ)については「人物や事件の様子,及び人物の内面を生き生きと想像する力」であり,(ウ)については「人物や事件などについて,自分なりの視点から深まりのある感想を持つ力」である。もちろん,これらの力は相互に関連している。

イ 「豊かな読みの力」を育てる学習指導計画の在り方について
 授業で「豊かな読みの力」を育成するには,多くの作品を読む方法と一つの作品をじっくり読む方法とが考えられる。教育課程審議会の「中間まとめ」(1997.11)には「文学的な文章の詳細な読解に偏りがちであった指導の在り方を改め」とあった。中・高校で読書量が大変少ない生徒が増えている現在,文学作品の詳細な読解に偏らず,授業でも興味が持てる作品を多く読むことは大切なことである。しかし同時に,一つの作品をじっくり読む方法もやはり重要である。特に深みのある文学作品の場合,じっくり読むことによって,そのよさが分かってくる。今回の研究では,文学作品をじっくり読むことによって「豊かな読みの力」を育成しようと考えた。ただしその場合,単元での読みの課題は精選し,同時に年間の授業計画では文学作品の詳細な読解に偏らないよう留意した。
 教室で文学作品を読む場合は,大勢で読むので,多様な読みの交流が可能である。しかし,高等学校にありがちな講義式の授業ではそれは難しい。そこで,他の生徒の読みと比較交流することによって自己の読みを深めるような学習活動を,単元の学習指導計画に取り入れた。この読みの交流活動は,読みの要素の中の意味形成行為と享受反応行為を充実させるのに有効であろう。
 次に,イメージ生成や意味形成には,表現活動が大変有効であると考えた。そこで,作品に応じて,読みの深まりにつながるような表現活動を工夫して取り入れることにした。

(3) 研究内容B「生徒が主体的に参加できるような
          グループ学習の在り方と,評価法について」

ア 実施した方法
 教室で文学作品を読む場合,まず基本的に大切なことは,生徒が読みの学習に主体的にかかわるようにすることである。一斉授業の形態は効率はよいが,生徒一人一人は受け身になりがちである。この研究では,生徒が主体的に読みを深めていく過程を大切にしたいので,全授業,あるいは読みの交流を行う授業でグループ学習を採用した。
 グループの人数については,今までの経験からすると,5・6人にした場合,話し合いに参加しない生徒や他人任せになる生徒が出てきがちであった。そこで,できるだけ人数を減らし3人を基本にして実施してみた。(表現活動の都合で4人にした場合もある。)
 また,生徒には毎時間学習プリント(1時間B5のプリント1枚)を渡し,一人一人に自己評価させ提出させることにした(よい方からA〜Dの4段階評価及び一行の記述評価)。生徒自身が,主体的に読みの学習に取り組めたかどうかを評価し,次時の学習活動に生かしてほしいと考えたからである。また,教師は毎回それを見て,個々の読みの学習の進み具合を確認し,適切な助言をすることにした。学習プリントには,1時間でできるような量の課題を精選して載せるようにした。

イ 授業の様子とアンケート結果
 グループ学習による授業を観察していると,一斉授業のときよりも,生徒たちが生き生きと学習活動をしていることが分かった。
   また,完結年次に各研究協力員がそれぞれ実践した「山月記」(高校2年生対象),「建礼門院右京大夫集」(高校3年生対象),「銀杏」(高校1年生対象)の授業の後,グループ学習に関してアンケート(よい方からA〜Dの4段階評価。以下同じ)を実施した。その結果は図表2のとおりである。
 
(棒グラフは左からA・B・C・Dの順。以下同じ。)
 いずれの授業でも,AとBの評価を合わせると,ほぼ90%であった。なお,「建礼門院右京大夫集」の授業では6人グループのクラスと4人グループのクラスを作ってみたが,4人グループで行ったクラスの方が授業後の自己評価が高かった。

ウ 研究内容Bの成果と課題
 授業観察やアンケートの結果から,今回の授業においては、3人あるいは4人のグループによる学習が有効であると分かった。生徒にとって,一斉授業と異なる形態で,しかも意見交流の機会が多かったことは新鮮な刺激になったようである。
 次に,生徒の授業ごとの自己評価からは,自己評価を行い教師が助言をするうち,多くの生徒が一行記述の内容を充実させ,学習に積極的に向かうようになることが分かった。毎時間自己の学習を振り返らせ,助言することの意義が確認できる。

(4) 研究内容C「読みを深めるための表現活動の在り方について」

ア 表現活動を位置づけた理由
 単元の学習指導計画の中に読みを深めるための表現活動を位置づけた理由は,以下の2点である。
読みと関連づけた表現活動を行えば,生き生きとイメージを思い浮かべ,作品全体の意味を考えるようになる。
興味深い表現活動を取り入れ互いに交流するようにすれば,学習活動の活性化が図れる。
今回実施した「国語の学習に関する調査」では「授業の流れがつまらない」ことに対する不満が多かったが,表現活動を組み合わせることによって,その不満はかなり解消できると考えた。
 実践した表現活動は,シナリオ作り,朗読,古典の現代版作成,「私の山月記」の創作,架空の手紙文の創作(古典),感想文の作成である。

【実践事例1】「舞姫」におけるシナリオ作り
 森鴎外の小説「舞姫」の読解をまず3人でのグループ学習の形態で行った(13時間)。その後,下記4場面のシナリオ作りと発表を行った(5時間)。対象は高校3年生である。
 A場面・・・クロステル教会の前で泣くエリスと豊太郎が初めて出会う場面
 B場面・・・悲しみにくれるエリスの話を聞いてエリスを家に送る場面
 C場面・・・相沢の手紙を受け取り,大臣に会いに行くことになる場面
 D場面・・・意識不明の豊太郎を相沢が訪ねて真相を話し,エリスが発狂する場面
 創作活動としてシナリオ作りを選んだ理由は,「舞姫」が明治時代の小説で,しかも文章が文語体であるので,生徒たちにとってイメージ化がかなり難しいと考えたからである。シナリオ作りを通して,「豊かな読みの力」の中の,生き生きと想像する力,登場人物の言動の意味を深くとらえる力をつけたいと考えたのである。
 各グループは,1回目はAまたはB場面,2回目はCまたはD場面のどちらかを選んで発表した。グループ内では一人一役が必ず当たるようにした。
 なお,シナリオ作りは,芥川龍之介の小説「羅生門」の授業(対象は高校1年生)でも実施した。

【実践事例2】
「建礼門院右京大夫集」における手紙等の創作
 古典の「建礼門院右京大夫集」の学習を一斉授業とグループ学習(4人)を組み合わせて行った。(全7時間)。そして,その中に下記のような表現活動を取り入れた。
 @場面を絵画化し登場人物の心中を吹き出しの形で表現する。
 A架空の手紙とそれに対する返事を書く。
 B筆者の和歌に対して建礼門院の立場から返歌を作る。

これらの表現活動によって,「豊かな読みの力」の中の「人物や事件の様子,及び人物の内面を生き生きと想像する力」をつけたいと考えたのである。ここでは,Aについて説明する。
 架空の手紙とそれに対する返事を書く授業は,「建礼門院右京大夫集」の学習の第5時に行った。時を壇ノ浦の戦いが始まる前(1185年ごろ)に設定し,離ればなれになった右京大夫と平資盛(恋人同士)が取り交わす手紙を想像させ,口語で書かせた。4人グループ(手紙を交換するためほとんど男女2人ずつにしてある)の中で,男子はまず資盛の立場で右京大夫に手紙を書き,女子は右京大夫の立場で資盛に手紙を書いた。その後,そのグループの中で男子と女子が手紙を交換し,各々逆の立場から返事を書いた。さらに,グループ内で手紙を交換し意見交流させるとともに,印象的な手紙をペアで何組かクラス内で発表させた。

【実践事例3】 「銀杏」の授業における感想文の作成
 司修の小説「銀杏」(前半)の読解をまず3人でのグループ学習の形態で行った(3時間)。その後,焦点を絞って感想文を書かせ,2グループ合同にしてお互いの感想文の交流をした。さらに,その合同グループの中で印象的な感想文をクラス全体に紹介させた(3時間)。
 感想文は,この小説の読みを深めるため,「自分に『大切なものを失った体験』『兄弟姉妹との心の葛藤体験』があれば比較して書いてみよう」という課題で書かせた。そして,それによって「豊かな読みの力」の中の「人物の言動や事件の展開の持つ意味などを深くとらえる力」「人物や事件の様子及び人物の内面を生き生きと想像する力」をつけたいと考えた。

イ アンケート結果と表現活動による作品の分析
 研究の検証は,生徒に対するアンケート調査,表現活動の観察,作品の分析等によって行った。「山月記」「建礼門院右京大夫集」「銀杏」の授業で行った,表現活動に関する観点別アンケートの結果は次ページの図表3のとおりである。
 いずれの授業でもAとBの評価を合わせると90%以上であった。
 
 作品の内容については,例えば「建礼門院右京大夫集」の授業で,生徒が最初に書いた手紙 を分析してみると(1クラス33人分),内容把握・心情理解とも不十分だったものは一人しかいなかったが,内容把握・心情理解とも十分だったものは17人と予想よりやや少なかった。中世の人物の立場になって手紙を書くという,やや高度な表現活動だったためであろう。
 自由記述での授業感想には次のようなものがあった。「台詞作りをすることで,一つ一つの言葉から情景をうかべその時の気持ちへと入り込みました。黒板に書かれたことをノートに写す今までの方法よりも・・・理解しやすくて,絶対に忘れないという感じでした」(「舞姫」)「自分で手紙を書いてみて,大夫の辛さがよく分かった」(「建礼門院右京大夫集」)「手紙を書いているときは,恥ずかしさも忘れて本人になった気持ちで書けた。」(同前)
 表現活動の観察や,作品の分析などからは,次のようなことが分かった。
実践した表現活動の違いにより,生徒が作品を読み返すような作業に向かう場合(読みを深めるのに大変有効)と,作品とはやや離れた創作に近い活動に向かう場合とがあった。
表現活動がある授業に対する評価(授業ごとの自己評価)は,他の授業より高かった。

ウ 研究内容Cの成果と課題
 読解活動の中に,工夫した表現活動を組み入れることにより,生徒の授業への意欲を高めることができた。しかも,適切な表現活動は作品を読み深める(=意味を深くとらえ,イメージを生き生きと思い描く)ために大変有効であった。ただし,作品によっては,表現活動以外の活動(課題についてのクラス討議,シンポジウム等)を採用した方がよい場合もあると考えられた。

(5) 研究内容D「他の生徒と読みの交流を行うことができる
                     学習過程の在り方について」

 文学作品は,読者が自分の体験やイメージを踏まえて情景を想像し読んでいくため,読者ごとに少しずつ異なる作品イメージ(読み)が生じる。そのため,教師が一つの読みだけを正解として押しつけると,生徒は文学作品の授業をおもしろくないと感じる。しかし,読者ごとに読みが異なるからといって,その読みを何でも承認した場合,生徒が物足りなさを感じる場合も多い。読み誤りをしている場合もあり,読みに深浅の差が生じている場合もあるからだ。そこで,単元の中に他の生徒の読みと自己の読みを比較交流し,自己の読みを深めるような機会を設けるようにした。
 読みの交流を行う活動は,クラス討議等も考えられるが,今回の研究では,「グループ内での読みの交流」「グループ間での読みの交流」を行った。

ア グループ内での読みの交流
 各授業実践において,グループ内で課題に対する答えを比較させることを通して,作品の重要な場面での読みの交流を図った。
 また,「舞姫」や「羅生門」の授業では,シナリオの台詞をグループで考える中で,お互いの読みを交流して深化させるようにした。「建礼門院右京大夫集」「銀杏」「山月記」の授業では,生徒が自分の作った手紙文・和歌,感想文,「私の山月記」(創作文)をグループ内で交流することによって,自分の読みを深められるようにした。その際,読みっぱなしにならないよう,相互評価や自己評価をさせた。

イ グループ間での読みの交流
 課題についての学習を進めるとき,グループ間で読みが異なるような場合,適宜グループ間で意見交流させるようにした。
 また,「舞姫」「羅生門」の授業では,グループで作ったシナリオをクラスで発表させることによって読みの交流をさせた。その際,相互評価・自己評価させ,注意して聞くようにした。

ウ アンケートの結果
 「山月記」「建礼門院右京大夫集」「銀杏」の授業で行った,グループ内での読みの交流に関するアンケートの結果は図表4・5のとおりである。
 
 
 この結果から,いずれの授業でも生徒はグループ内での読みの交流の意義を認めていると分かる。
 自由記述の授業感想には次のようなものがあった。「グループ学習では,みんなと相談し合ってとても楽しくできたし,それによって『銀杏』がより深く読み込めたと思います。自分で感想を書き他人の感想を読んで,光平の気持ちも初めよりはとても理解できたと思います」(「銀杏」)。また,「銀杏」の授業で,初読の感想で兄弟の葛藤にふれていたのは5%だったが,授業後の自由記述感想では全員がふれていた。この授業では,兄弟での葛藤体験への共感を記した生徒の感想文が,そのような葛藤体験のない生徒の読みも深める働きをしたと考えられる。
 「山月記」「建礼門院右京大夫集」の授業で行った,グループ間での読みの交流に関する観点別アンケートの結果は図表6のとおりである。
 どちらの授業も,AとBの評価を合わせると90%以上であった。


エ 研究内容Dの成果と課題
 グループ内やグループ間で読みの交流を行う機会を設けたこと,特に表現による作品の交流の機会を設けたことにより,ほぼ90%以上の生徒が読みの深まりを感じることができた。
 ただし,個々の生徒のレベルでみてみると,課題もあった。例えば,ある生徒は自分の読みと他の生徒の読みが異なる場合,あまり考えもしないで他の生徒の見解を採用してしまった。自分とは異なる読みを知り,自己の読みと比較しつつ一層深めていくには粘り強い知的作業が必要である。多くの生徒がそのような知的作業をするように学習指導法の工夫をしていかなければならない。


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5 研究のまとめ

 「豊かな読みの力」を育てるためには,学習形態として3人(場合により4人)によるグループ学習を採用し,単元の学習指導計画に,表現活動,読みの交流,自己評価と相互評価を取り入れることが有効であると分かった。さらに,このような授業を行えば生徒たちが楽しく感じると分かったことが収穫であった。読みの授業を楽しくすることこそ,「豊かな読みの力」を育てるための大前提だと考えるからである。しかし,このような授業を行おうとすればかなり余裕が必要なので,年に1・2回ほどにして3年間繰り返し実施するとよいだろう。それによって,「豊かな読みの力」が定着していくに違いない。読みの授業の改善こそが国語の授業改善の鍵である。今後更に学習指導法を工夫していきたい。

【参考文献】
田近洵一著「創造の〈読み〉」 東洋館出版社 1996
田中 実著「小説の力」    大修館書店  1996
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