本研究のねらいは,文学作品に対する「豊かな読みの力」を育てる指導の在り方を,授業実践を通して究明することにある。まず,国語に関する意識調査を行い,生徒の読みに対する意識を明らかにするとともに,「豊かな読みの力」とは何かを考えた。次に,「豊かな読みの力」を育てるため,一人一人が主体的に参加できる学習形態と評価の在り方を工夫し,さらに自己の読みを深める手立てとして表現活動と生徒同士の交流活動を取り入れた。 |
「豊かな読みの力」とは何かを解明した上で,学習形態と評価を工夫し,単元の学習指導計画の中に表現活動と読みの交流を取り入れれば,生徒一人一人に文学作品に対する豊かな読みの力を育成することができる。 |
(ア) 意味を発見する(意味形成行為) ことばをとらえ,人物の言動や事件の展開などの持つ意味を追究する。 (イ) イメージを描く(イメージ生成行為) 人物や事件の様子,及び人物の内面を想像する。 (ウ) 反応批評する(享受反応批評行為) 人物や事件などについて,作品の内と外の視点から感想を持つ。 |
・ | 読みと関連づけた表現活動を行えば,生き生きとイメージを思い浮かべ,作品全体の意味を考えるようになる。 | |
・ | 興味深い表現活動を取り入れ互いに交流するようにすれば,学習活動の活性化が図れる。 |
・ | 実践した表現活動の違いにより,生徒が作品を読み返すような作業に向かう場合(読みを深めるのに大変有効)と,作品とはやや離れた創作に近い活動に向かう場合とがあった。 | |
・ | 表現活動がある授業に対する評価(授業ごとの自己評価)は,他の授業より高かった。 |