外  国  語
 
1 改訂の趣旨
(1) 改善の基本方針

 教育課程審議会の答申の中で、外国語科の改善の基本方針については、どのように示されていますか。
 
ア これからの国際社会に生きる日本人として
 世界の人々と協調し、国際交流などを積極的に行っていけるような資質・能
力の基礎を養う観点から、外国語による実践的コミュニケーション能力の育成
にかかわる指導を一層充実する。その際、外国語の学習を通して、積極的にコ
ミュニケーションを図ろうとする態度と、視野を広げ異文化を理解し尊重する
態度の育成を図る。

イ 実践的コミュニケーション能力の育成を図るため、言語の実際の使用場面
に配慮した指導の充実を図る。

ウ 国際化の進展に対応し、外国語を使って日常的な会話や簡単な情報の交換
ができるような基礎的・実践的なコミュニケーション能力を身に付けることが
どの生徒にも必要になってきているとの認識に立って、中学校及び高等学校の
外国語を必修とすることとする。
 
(2) 改善の具体的事項

Q 高等学校外国語科における改善の中に示されている具体的事項は何ですか。
 
ア 科目の構成は、「オーラル・コミュニケーションT」「オーラル・コミュ
ニケーションU」「英語T」「英語U」「リーディング」及び「ライティング」
とする。
 
イ 「オーラル・コミュニケーションT」は中学校の学習を踏まえ、「聞くこ
と」及び「話すこと」の音声によるコミュニケーション活動の指導を重点的に
行うことをねらいとして内容を構成する。その際、例えば、情報や自分の考え
などを整理して発表したり、話し合うなどの発表能力や表現能力を育成するた
めに、簡単なロール・プレイ、スピーチ、ディスカッションなどやそれらの基
礎になる活動を含めるようにする。 
 
ウ 「英語T」「英語U」「オーラル・コミュニケーションU」「リーディン
グ」及び「ライティング」は内容を見直し、次のような内容で構成する。
 ○「英語T」は、中学校での学習事項の一層の習熟を図り、「聞くこと」、
  「話すこと」、「読むこと」及び「書くこと」の四つの領域を総合的、有
  機的に関連付けたコミュニケーション活動の指導を行うことをねらいとし
  て内容を構成する。
 ○「英語U」は「英語T」の基礎の上に、コミュニケーション活動の指導を
  発展的に行うことをねらいとして内容を構成する。
 ○「オーラル・コミュニケーションU」は、「オーラル・コミュニケーショ
  ンT」の基礎の上に、さらに、「聞くこと」及び「話すこと」の音声によ
  るコミュニケーション活動の指導を発展的に行うことをねらいとして内容
  を構成する。
 ○「リーディング」は英語を読んで情報や書き手の意図などを場面や目的に
  応じて素早くとらえたり的確に把握するなど、文字によるコミュニケーシ
  ョン能力を高めるような指導を行うことをねらいとして内容を構成する。
 ○「ライティング」は英語を書いて情報や自分の考えなどを場面や目的に応
  じて的確に相手に伝えるなど、文字によるコミュニケーション能力を高め
  るような指導を行うことをねらいとして内容を構成する。
 
2 外国語科の目標

Q 新学習指導要領の目標は何ですか。
 
 外国語を通じて、言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーシ
ョンを図ろうとする態度の育成を図り、情報や相手の意向などを理解したり自
分の考えなどを表現したりする実践的コミュニケーション能力を養う。
 

Q 実践的コミュニケーション能力の定義は何ですか。
 
 「実践的コミュニケーション能力」とは、外国語の音声や文字を使って実際
にコミュニケーションを図ることができる能力である。すなわち、外国語を使
って、情報や相手の意向などを理解したり自分の考えなどを表現したりして、
通じ合うことのできる能力である。     
 「実践的コミュニケーション能力」を養うには、生徒が実際に情報の受け手
や送り手となってコミュニケーションを行う活動が必要である。また、そのよ
うな活動を行う際には、言語の使用場面や働きを有機的に組み合わせることに
より、活動を実践的なものにすることが重要になる。
 
3 科目編成の改善の要点

Q 新学習指導要領の科目編成及び各科目の標準単位数はどのようですか。
 

オーラル・コミュニケーションT (2)
オーラル・コミュニケーションU (4)
英 語T   (3)
英 語U   (4)
リーディング (4)
ライティング (4)
 
@ 外国語が必履修科目になったことを受け、英語を履修する場合は、「オーラ
  ル・コミュニケーションT」又は「英語T」のいずれか 一方を履修させる。
A 各科目の内容の取扱いは次の通りである。
 「オーラル・コミュニケーションT・U」
 ・中学校での音声重視の指導を引き継ぎ、発展させること
 ・読むこと及び書くことも有機的に関連づけた活動をおこなうこと
 「英語T・U」
 ・四つの言語活動を総合的・有機的に関連させて指導する。
 ・多様な場面での言語使用の経験をさせ、習熟をはかること
 「リーディング」
 ・聞くこと、話すこと及び書くことも有機的に関連づけた活動を行うこと
 ・読む目的を重視して指導すること
 「ライティング」
 ・聞くこと話すこと及び読むことも有機的に関連づけた活動を行うこと
 ・書く目的を重視して指導すること
 ・書く過程を重視して指導すること


4 評価の観点及び趣旨

Q 評価の観点及び趣旨は何ですか。
 
 評価の観点は、「関心・意欲・態度」「表現の能力」「理解の能力」「知識・
理解」の4つである。また、それぞれの観点の趣旨は下記のとおりである。

「関心・意欲・態度」
 ・コミュニケーションに関心をもち、積極的に言語活動を行い、コミュニケーシ
  ョンを図ろうとする。

「表現の能力」
 ・外国語を用いて、情報や考えなど伝えたいことを話したり、書いたりして表現
  する。

「理解の能力」
 ・外国語を聞いたり、読んだりして、情報や話し手や書き手の意向など相手が伝
  えようとすることを理解する。

「知識・理解」
 ・外国語の学習を通して、言語やその運用についての知識を身に付けるとともに、
  その背景にある文化などを理解している。
 

Q 学習指導と評価の工夫についてどのような点に配慮すればよいでしょうか。
 

 ア 「関心・意欲・態度」
  コミュニケーションを積極的に図ろうとする生徒の活動の様子を評価する。例
 えば、聞くことについての積極性の現れとして、相手の目や表情を見ながら聞く、
 聞き取れない場合は聞き返す、メモを取りながら聞き取るなどがあげられる。

 イ 「表現の能力」
  話すこと及び書くことの領域を中心にした コミュニケーション能力を指導し
 評価する。話すことについては、リズムやイントネーションが正確であるか、声
 の大きさ、スピードなどが適切であるか、場面や目的に応じた適切な表現となっ
 ているか、話し合いのルールや発表の仕方が学習され正確に、また適切に活用さ
 れているかなどについて評価する。書くことについては、語、連語、文型・文法
 の正確さ、場面や目的に応じた表現の適切さ、パラグラフの構成、論理の展開の
 仕方の正確さや適切さなどについて評価する。

 ウ 「理解の能力」
  聞くこと及び読むことの領域を中心にしたコミュニケーション能力を指導し評
 価することになる。
  聞くことについては、語句や文の意味などを聞いて理解する、情報や話し手の
 意向を正しく理解する、目的に応じて概要や要点を適切に把握するなどがある。
  読むことについては、情報や書き手の意向を正しく理解したり、概要や要点を
 把握するなど読む目的に応じたふさわしい読み方をするなどについて評価する。
  「表現の能力」及び「理解の能力」の評価に当たっては、こうした指導事項を
 踏まえて、授業中の生徒の観察、各種の試験、レポートなどを総合的に評価する。

 エ 「知識・理解」
  指導に当たっては、語句、文法、表現の方法、文章の構成など言語に関する知
 識やその運用に関する知識、また言語の背景にあるものの考え方や文化などを取
 り上げることとなる。


5 学習指導案の解説 
 
(1)統合的な活動の例
 この指導案の一番大きな特徴は、読んだり聞いたりして得た情報について自分の
考えを述べている点である。「ウ 聞いたり読んだりして得た情報や自分の考えな
どについて、話し合ったり意見の交換をしたりする。」が英語Iの言語活動の一つ
として新学習指導要領にあげられているが、この指導案はそれを踏まえたものとな
っている。単独の領域だけではなく、「四つの領域を総合的・有機的に関連づけ
た」コミュニケーション活動
は、日常の言語使用を反映したものであり、授業で
も「四領域を組み合わせた活動」を行うことが望ましい。
 また、新教材の提示の前のペア活動は、2つの点で意義がある。一つは、ペア活
動の内容を新教材の内容と関連づけ、事前に聞く内容の背景知識を活性化させるこ
とである。生徒はこれにより、ある程度どんな内容の英語を聞くのか心構えができ、
聞き取りやすくなる。また、授業の初めのペア活動は、生徒をリラックスさせる効
果もあると考えられる。
 In-listening で英語を聞き、タスクを行うことが、次の「読むこと」の事前準備
にもなっており、生徒の読みが一層深まるよう配慮されている。
 「読むこと」の指導では、語、文、段落へと小さい単位から大きな単位へと意味
をとっていくbottom-up 方式ではなく、この指導案のように、読みを2つの段階に
分け、最初に概要を把握し、次に細部を理解するような授業展開が望ましい。また、
文章の概要・要点を把握する方法はいろいろあるが、この指導案のように何枚かの
絵を時間の流れに沿って並び替えるのも効果的である。
 
 
 
(2)言語材料を理解し、実際活用している例
 これは前置詞という文法事項を理解だけにとどめず、「実際に活用」しながら、
コミュニケーション活動につなげようとするものである。基本的な文型と文法事項
の指導に当たって、日本語の説明と機械的な練習問題に終始する授業が時々みられ
るが、この指導案のように言語語材料を「実際に活用しながら」習得させていく
ことが望ましい。
 また、教材・教具の面では、ボールや箱などを実際に提示して前置詞の用法を理
解させており、説明がわかりやすく、生徒の興味・関心も喚起している。また、日
本語に頼らずに指導していることが評価できる。
 Total Physical Responseでは、生徒は教師の指示に従い動作をすることになるが、
教師の指示通りの動作ができるかどうかで前置詞の用法の理解度を確かめることが
できる。
 英語を使用言語とし、「聞くこと」「話すこと」を中心に授業が構成されている
が、実際にコミュニケーションをする場が設定されていない点が問題である。生徒
が特定の言語材料に完全に習熟していなくてもコミュニケーション活動を行うべき
で、この場合、前置詞の理解が不十分でコミュニケーションに支障を来すようなら
ば、再度その説明や練習を行うとよい。コミュニケーションをしながら、言語材料
にも習熟していくという指導が望まれる。
 この授業は、一斉指導であり、Speaking Drill, Drawing a Picture等で、
ペアワークなどの小集団活動を用いて指導形態に変化を持たせ、また、生徒が主
体的に活動する場を設定
することが肝要である。
 

 指導案1

 指導案2

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