英語教育関係図書
 
 【英語教育史】











 

鈴木孝夫監修,川澄哲夫著『資料日本英学史 英語教育論争史』大修館, 1978
 明治以来の英語および英語教育に関する様々な意見・論争を原典で示して
いる。 森有礼,馬場辰猪の「英語を国語として採用すること」についての論
争から,大正時代の受験英語の発生,戦時中の英語存廃論,戦後の英語教育
まで,幅広く資料が渉猟してある。

伊村元道著『パーマーと日本の英語教育』大修館, 1997
 大正末に来日したハロルド・パーマーの日本の英語教育改革のための足跡を
たどったもの。当時の日本の英語教育における問題点や課題の中には,今でも
課題となっているものもある。
 
 
 【辞典:外国語教授法】











 

Jack C. Richards, John Platt, Heidi Platt, Longman Dictionary of Language Teaching
and Applied Linguistics.
Longman, 1992.
 DISCOURSE, COMMUNICATIVE COMPETENCE, COHESION等の言語教授に
関わる言葉を平易な英語で簡潔に説明している。主な項目を拾い読みするだけで
も,指導法・指導技術に関する知識がある程度得られる。

K.ジョンソン,H.ジョンソン編,岡秀夫監訳『外国語教育学大辞典』 大修館, 1999
 原著は,The Encyclopedic Dictionary of Applied Linguisticsであるが,言語,
言語学習,言語教育の3つの分野について上記の辞典よりももっと詳しい解説
がされており,言語教育についてかなりのスペースが割いてある。
 
 
 【指導法全般】







 

 望月昭彦編著,久保田章・磐崎広貞・卯城祐司著『新学習指導要領にもとづく英語科教育法』大修館, 2001
 英語教育学の全体像が把握できるように、英語教育の目的論に始まり、「学習者」「早期英語教育」「英語教授法の種類」「第二言語習得」「各領域の指導」「測定と評価」「語彙」「授業運営」等、各分野についてのミニマム・エッセンシャルズを述べている。理論が実践に結びつくように配慮してある。
 
 
 
































 

H. Douglas Brown, Teaching by Principles. Prentice Hall Regents, 1994.
 外国語を学ぶ際の動機付けから4領域の活動や,授業の展開,テスト作成等,
言語学,心理学等の知見を豊富に取り入れて理論と実践の両方から外国語教育
にアプローチしている。 英文は比較的読みやすい。

Jeremy Harmer, How to Teach English. Longman, 1998.
 初級から中級(上級)レベルの活動や,その背景となる理論を易しく説明し
ている入門書で,非常に読みやすい。もっと詳しく取り扱ったものに,同じ著
者によるThe Practice of English Language Teaching. Longman, 1992. がある。

William Littlewood, Communicative Language Teaching. Cambridge Univ. Press,  1981.
 Communicative Approachを簡潔にまとめたもので,同アプローチを知るための
定番とも言ってもよいような本。スピーキング、リスニングを取り扱っている。

佐野正之,米山朝二,松沢伸二著『基礎能力をつける英語指導法』大衆館, 1988.
 いろいろなレベルの4領域における活動が示されており,統合的な活動例も
知ることができる。 理論と実践のバランスのとれた本で,中学校教員・高等
学校教員のどちらも利用できる。

小池生夫監修,SLA研究会編『第二言語習得研究に基づく最新の英語教育』
大修館, 1994        第12章〜16章
 コミュニケーション能力,リスニング,スピーキング,リーディング,ライ
ティングの各理論について簡潔にまとめてあり,各領域の理論を鳥瞰できる。

高梨庸雄,緑川日出子,和田 稔著『英語コミュニケーションの指導』研究社,
1995
 コミュニケーションに関わる点をストラテジー,授業,評価,4技能,ティ
ーム・ティーチング,教材等いろいろな角度から論じている。コミュニケーシ
ョン・ストラテジーについてもよく整理されており,授業で指導する際の参考
になる。
 
 
 【リスニング】






 

文部科学省『英語を聞くこと及び話すことの指導』学校図書, 1992
 現行の高等学校学習指導要領に基づいて,「聞くこと・話すこと」の指導計
画および指導と評価について具体例をあげながら説明している。教師による評
価,生徒による評価や「聞くこと」における音声の特徴など,「聞くこと・話
すこと」の全体について知ることができる。
 











 

金谷 憲・谷口幸夫編,渡辺浩行著『英語教師の四十八手 リスニングの指導』
研究社, 1994
 「簡単なリスニング活動」「いろいろなリスニング活動」「リスニング力アッ
プの指導」のそれぞれについて,実際に授業で使える活動例が数多く載ってい
る。中学校・高等学校のいずれにおいても実践できる内容である。理論的な面  は扱っていない。

天満美智子『新しい英文リスニング法』岩波書店, 2000
 ジュニア新書の一冊で,生徒向けに書かれたものだが,リスニングの基本的
特徴や,聴き取るための視点がわかりやすく,簡潔に説明してある。
 
 
 
 【スピーキング】

















 

三浦 孝著『英語コミュニケーション授業の実際』第一学習者, 1992
 英語嫌いが大半を占める生徒を対象に,「より良き対等な人間関係」を目指
して英語によるディスカッションを行った実践。理論と実践から成り,最近の
応用言語学と外国語教授理論を応用して,「借り物」ではなく,自分独自の指
導法を確立している。 指導案,教材,生徒作品も多く載っている。

文部科学省『英語を聞くこと及び話すことの指導』学校図書, 1992
 現行の高等学校学習指導要領に基づいて,「聞くこと・話すこと」の指導計
画および指導と評価について具体例をあげながら説明している。教師による評
価,生徒による評価や「聞くこと」における音声の特徴など,「聞くこと・話
すこと」の全体について述べてある。

松本 茂『頭を鍛えるディベート入門』講談社, 1996
 新書版で、ディベートとは、どういうものかをわかりやすく説明している。
ディベートの意義や進行形式ばかりではなく、英語教育との関連についても述
べてある。
 
 
 
 【リーディング】





 

金谷 憲・谷口幸夫編,薬袋洋子著『英語教師の四十八手 リーディングの指導』
研究社 , 1993
 リーディングの理論ではなく,「音読の指導」「速読・多読の指導」「内容理解
の方法」について,それぞれ中学・高校の具体的な指導例が多数示されている。
「題材の見つけ方」についても述べてある。





 

高梨庸雄,卯城祐司 『英語リーディング事典』 研究社, 2000.
 リーディングについて理論から実践までについて包括的にまとめた大部のも
の。 最近の研究成果に基づいてリーディング及びリーディング指導に関する事柄
を網羅している。
 
 
 
 【ライティング】















 

Ann Raimes, Techniques in Teaching Writing. Oxford Univ. Press, 1983.
 ライティングについての理論と,具体的な活動例が豊富に示されており,和
文英訳以外の授業を構築しようとするとき大いに参考になる。

金谷 憲・谷口幸夫編,小林昭江著『英語教師の四十八手 ライティングの指導』
研究社, 1994
 和文英訳以外の英語を書く活動を数多く紹介している。単語を書く活動から
課題作文まで,いろいろなレベルの活動が記されており,楽しみながら英文を
書くためのアイデアが豊富である。

橋内 武『パラグラフ・ライティング入門』研究社, 1995
 パラグラフ,エッセイの書き方,プロセスライティング等について丁寧に説明
してあり,評価や,添削方法についても学べる。「つなぎ語」「結束性」「統括性」等の説明もある。
 
 
 
 【文法】












 

萩野俊哉『コミュニケーションのための英文法』大修館, 2000
 文法項目をただ解説して,実際の言語使用と遊離した練習を行うのではなく,
少しでもコミュニケーションに近づけようとする試みの本である。「関係詞」
「仮定法とifの用法」等も扱っており,中学・高 校のいずれでも使える。各文 法項目は、「文法エッセンス」「Communication Practice」「ヴァリエーション活動」 から構成されている。

Penny Ur, Grammar Practice Activities. Cambridge University Press, 1993
 特定の文法項目を実際に使用しながら習得することを目指した本である。扱
っている文法項目は、中学校のものが多い。ペアワークなどで使用する教材は,
コピーすることができる。
 
 
 【テスト論】 















 

金谷 憲・谷口幸夫編,根岸雅史著 『英語教師の四十八手 テストの作り方』
研究社, 1993
 第一部では,語彙・文法,リスニング,スピーキング,リーディング,ライ
ティングについて具体的なテスト例,採点基準,採点の仕方等が記されている。
第二部では,問題の配列・配点の仕方,波及効果,テストの信頼度などについ
て学べ,薄い本ではあるがテストに関する全体像が把握できるようになっている。

Arthur Hughes, Testing for Language Teachers. Cambridge Univ. Press.
 テスト作成についての理論と具体例が平易に述べてある。

J.B. Heaton, Writing English Language Tests. Longman, 1990.
 テスト理論よりもむしろ問題例に重きをおく実践的な本。具体的な問題例が
数多く示されている。邦訳が研究社から『コミュニカティブテスティング』と
いう書名で出ている。
 
 
 【ティーム・ティーチング】










 

文部科学省, Handbook for Team-teaching. ぎょうせい, 1994
 ティーム・ティーチングについての基本的理念や概要が簡潔に記されている
英文の図書である。中学・高校の授業実践例が多数あげられており、指導案を
書くときにも参考になる。

藤井昌子,イヴァン・バーケル『言語活動成功事例集』開隆堂, 1998
 埼玉県の中学校・高等学校の英語教員の実践を集めた本。各言語活動の難易
レベル,使用技能、所要時間等が記されている。同じ内容が,日本語と英語で
書いてあり,ALTにも示すことができる。
 
 
 
 【アクションリサーチ】








 

J・C・リチャーズ,C・ロックハート著,新里眞男訳
『英語教育のアクション・リサーチ』研究社, 2000
 これは,教師が「自分の授業を振り返り,じっくりと思考する」ことによっ
て授業を変えていこうとする方策を示す本である。アクション・リサーチとは, 教師が「自分の授業の問題点を特定し,その問題点を解決するための指導計画
を立て」,その計画を実践後,「再度その授業を振り返り,新たな課題を見い
出し,その解決へと向かう」小規模な調査研究のことである。
 
 【異文化コミュニケーション】







 

吉田研作『外国人とわかりあう英語』筑摩書房, 1995
 英語が話せても,外国の人とのコミュニケーションがうまくいくとも限らず,
誤解や行き違いが生じることがある。異文化コミュニケーションを成立させる
ためには,言語に対する知識だけでは不十分で,異文化理解のための調整能力
が必要なことを述べている。新書版であるが,「社会語用論的誤り」「スキーマ」
等の概念についても学べる。